続き ページ19
契約解除まで、あと半年…
鬼灯はひとり、頭を抱えていた
このままでは、何も進展がなく契約が終わる…
確かに最初は、女よけでいいと思った
妻がいるとわかれば、変に告白してくる女獄卒たちを
なんとかできると
それで白羽の矢が立ったのが、Aだった
しかし…
気づいてしまった
だんだん彼女に惹かれている自分に
シロと戯れているとき…
茄子たちと話しているとき…
そういった彼女を、いつの間にか目で追っていた
あの笑顔を、自分にも…
いつしかそう思った
もうすぐ契約が切れる
年が明けると同時に、自分たちは他人になる
鬼灯は、だんだん怖くなってきた
このまま、彼女が離れたら…?
自分と別れたのち、違う男のもとに行ったら…?
もしその相手が、白澤だったら…?
その時自分のまわりには、
彼女でない女ばかりになる
彼女はもともと結婚に乗り気でなかった
今ドライなのも、きっと愛していないからだ
だからあんなに淡々と…
この間聞いた話も、
彼女が離れたら
あの女獄卒がすかさず来るだろう
しかもAに、自分に金輪際近づくなと言っていた
もし…
本当にもう金輪際来なくなったら…?
もう二度と、話せなくなったら…?
鬼灯「あぁ…早く契約切ってしまいたい」
そうすれば、フリー同士結婚できる
彼女を正式に妻にできる
そこに通りかかったA
鬼灯は、書類にペンを走らせ
何でもないふりをした
またひと月、ふた月…
そして12月…年の瀬
契約解除の時が迫っていた
その間に募りに募った、彼女への想い
鬼灯「……っ」
鬼灯、我慢できずAに直談判しに行った
鬼灯「Aさん!」
貴女「あら、旦那さま、なにか?」
ずきり、と胸が痛む
違う…
自分が求めているのはそんな薄っぺらい態度じゃない
鬼灯「貴女、いいんですか」
貴女「なにがです?」
鬼灯「この契約終わったら、本当に終わりになるんですよ!」
貴女「あら、いいじゃないですか、もともとそういう契約でしょ?」
あっさりとそう言うA
ずきん、ずきん
痛い…心が痛い…
というかなにマジメに守ろうとしてるんだ
もっと抗議するものじゃないのか
離れたくないと
契約でなくしたいと…
愛してると
言ってほしい
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nami☆ | 作成日時:2024年1月18日 7時