小話 契約婚〜鬼灯〜 ページ18
Aと鬼灯は、夫婦だ
ただし、契約上の
そのふたりに、愛はない
いわゆる仮面夫婦
鬼灯にとって、彼女はただの女よけだった
形だけの結婚で満足しているし
Aも、なるべくプライベートには
踏み込まないようにしている
会話も、仕事以外はあまりない
お互いを知らずにいるためだ
その方が、傷は浅く済む
そう考えたのは、Aだった
ひと月、ふた月…
形だけの日々が過ぎる
Aは、ただただ偽りの妻を演じるだけだった
だが…
貴女「あはは、シロちゃんくすぐったい」
シロと戯れるAをたまたま見かけた鬼灯
不覚にも、かわいいと思った
シロ「ねぇ、ケイヤクコンってなに?」
シロが無邪気に聞く
さっと隠れて聞く鬼灯
ルリオ「そりゃあアレだ、形だけの結婚ってやつだ」
貴女「ルリオくんよく知ってるね」
ルリオ「あぁ、まぁ…」
柿助「…ってことは、愛はないのか?」
シロ「えぇ?じゃあAさん、鬼灯様好きじゃないの?」
貴女「契約婚だからね、何とも思ってないよ」
ルリオ「なんか…悲しいな…」
貴女「まぁまぁ、そう言わないの。私は平気だよ、単なる女よけなんだから。それに契約もあと半年だし」
シロ「え、そうなの?」
ルリオ「期限つき、か…」
貴女「うん」
鬼灯「……」
鬼灯は、そっとその場を離れた…
ある日…
女獄卒「ちょっとあんた、いい加減にしてよ!」
Aは、女獄卒に絡まれた
女獄卒「いつもいつも鬼灯様と…!何様なのよ!」
彼女も、鬼灯を想っているひとりなのだ
貴女「そのことでしたら、あと半年お待ちになって?」
女獄卒「は?半年?」
貴女「あと半年待てば、鬼灯さまはフリーになる。その時アタックするなり何なりしたらどう?」
女獄卒「…あんた、あと半年で別れるっていうの?」
貴女「まあそういうことかな」
契約婚とは言えないので、Aはそう言った
女獄卒「半年…半年かぁ…」
貴女「あら、待てない?」
女獄卒「待つわよ!半年くらい!それが過ぎたらあんた、金輪際鬼灯様に近づかないでよね!」
貴女「もとよりそのつもり」
きぱっ、とAは言った
……その影で誰が聞いているかも知らずに
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作者名:Nami☆ | 作成日時:2024年1月18日 7時