鬼灯の冷徹小話集☆その弐 (ページ6)

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小話　バレンタイン〜鬼灯〜ページ6

2月…

それは乙女にとってある種の戦い

そう、バレンタインだ

男の獄卒たちも、何人かチョコをもらっている者もいる

中でもすごいのは、閻魔大王第一補佐官、鬼灯だ

彼はいつもこの時期、女獄卒に囲まれ、

受け取ってと騒ぐ彼女たちに、

ありがとうございます、と礼を言いつつ受け取る

貴女「…………」

彼女、Aも彼にチョコを渡す予定、だったのだが…

この調子じゃ渡せない

優しい性格の彼女、

女獄卒たちを押しのけてまで渡すなんてできない

貴女「(…むしろ、いらない…よね)」

手にしたチョコを悲しげに見つめ、

くるりと彼に背を向け歩き出す

その背を、鬼灯が見ていたとも知らず…

貴女「(…これ、どうしよう?)」

もう明日渡してしまおうか

その意味は…「嫌い」

もちろん知っている

貴女「ﾊｧ……いっそ、嫌いになれたらな」

??「誰をです?」

その独り言に返事が返ってきた

振り返ると…そこにはいるはずのない鬼灯がいた

貴女「ほ…鬼灯さん…」

鬼灯「はい。それで、誰を、嫌いにですって?」

ずい、と鬼灯は顔を寄せてきた

鬼灯「…まさか私を、じゃないですよね?」

貴女「…鬼灯さんには関係ないです」

ふいっ、と目をそらし、Aは言う

つい反抗してしまった

すると、鬼灯は顎をくいっ、と持ち上げ、Aを見つめた

鬼灯「…関係なく…ないです」

その声には、熱がこもっていた

鬼灯「…私がこの日をどれだけ待っていたか…!貴女からのチョコをどれだけ心待ちにしていたか!!」

実はAからのチョコを一番楽しみにしていた鬼灯

仕事中も、バレンタインが近づくとそわそわしていた

鬼灯「なのに…なのに貴女は!!明日渡すというのですか!その意味を分かっておいでですか!!」

そのAの先ほどのつぶやきに、

実はかなりショックを受けていた彼

貴女「ど、どうしたんですか鬼灯さん、何をそんな必死に…」

鬼灯「はぁ…もういいです、くれないなら…」

Aを抱き上げ、自室に向かう鬼灯

鬼灯「貴女ごとチョコをいただくまでです」

貴女「あ…」

その夜はチョコより甘かったとか

もちろんAのチョコはその日のうちに頂いた

顎クイ鬼灯さん!
書いててドキドキ!
カレンダー気にしてたりしたらいいかなと(笑)