010 期待 ページ10
森さんは、さっきとは別人のような重い表情で答えた。
「簡単に言えば、この横浜を裏で支える裏組織だよ。政府が手出しのできない裏側の世界を取り仕切っている。
ポートマフィアは正式な名称ではない。
ポートマフィアと言われているがほかに、呼び方がなくてそう呼ばれている。
君を助けたのは、私の意思ではない。
そこにいる太宰くんの意思だ。」
私は太宰さんの顔を見た
「君を助けたのは、そうだなぁ、僕のそばに置こうと思ったのだよ。猫の姿もとても可愛かったし、何より君は未知の異能力者だ。
これからの組織の役に立つ存在だと思ったのだよ。」
「私、そんなふうに見えましたか?」
細く汚れた体に真っ黒い毛並み、普通なら役に立つとは思えないような姿のはず。
「見えたよ、僕には見えた。」
太宰さんはそう断言した。
「世の中の基礎知識や、異能の使い方など諸々は僕が教えてあげよう。
だから、君も僕のそばに居てくれるかい?」
そばに居て欲しいなんて初めて言われた。
外に出たことがない私にとっては初めてのことだらけで、色んな感情が溢れてきてしまう。
太宰さんのそばにいたい。
私を求めて欲しい。
「はい。」
「ありがとう。改めてこれからよろしくね、A」
太宰さんが付けてくれた名前を耳にする度に自分が求められてる気がして、心地よかった。
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作者名:あや | 作成日時:2021年10月11日 3時