008 ありがとうございます ページ8
太宰さんに、いろんなことを聞かれた。
どこに暮らしていたのか。
なぜ、川に捨てられていたのか。
いつから、猫になれたのか。
私は、拙い言葉で家のことを話した。
太宰さんは私の頭を撫でながら、
「それは、災難だったね。」
と、一言呟いたあとに、私の猫になってしまう病気について教えてくれた。
「それは、病気ではないよ。
恐らく、異能力だ。
実は、僕も君とは違う異能力が使えるんだ。
君の猫化状態には効かないみたいだけどね。
異能力は、確かに珍しいだけど、世ではいろんな人が異能力を持っているのだよ。
自分の異能に気づかないで暮らしてる人、
異能を使って特殊な仕事をしてる人、
異能のせいで亡くなってしまう人、
異能力者には、いろんな人がいる。」
正直驚いた。私は外の常識も何も知らない身なのに、そんな夢みたいな事を説明されても簡単には信じられなかった。
それでも、太宰さんのことは信じたいと思った。
「私、外のことは何も知らなくて、ごめんなさい。」
「ううん!大丈夫だよ、
僕がちゃんと教えてあげるからね」
「ごめんなさい。」
「謝ることじゃないよ、君は被害者だ。
無知な親に化け物扱いされ、挙げ句の果てに見捨てるなんて。
それにね、A、ここは「ごめんなさい」じゃなくてもっと相応しい言葉があるんだよ。
それはね、「ありがとうございます」だ。
簡単に人に謝ってはいけないよ。
もう、誰も君を拒絶するものはないのだからね」
私は今どんな顔をしているだろう。
こんなふうに接してくれる太宰さんに驚いているが、
嬉しさも感じている。
「あ、ありがとうごさいます。太宰さん。」
私は震えた声で涙を流しながら呟いた。
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作者名:あや | 作成日時:2021年10月11日 3時