太宰さんの猫 (ページ15)

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014 優しい人ページ15

「何やら賑やかですね。」

そう言いながらもう1人メガネのかけた男が入口から入ってきた。

「安吾！
聞いてくれ！織田作には僕とAが恋仲に見えたんだって！」

「太宰くんにはもったいない相手ですよ。」

「安吾、酷いよ。。。」

「あなたがAさんですね。
はじめまして、坂口安吾です。」

「はじめまして。Aです。
あと、太宰さんにはもったいない相手と言いましたが、それは逆です。
私は太宰さんには相応しくないですよ。」

「そうですか？そんな風には見えませんけれど。気に触ったのであればすみません。」

「相応しいとか相応しくないとか関係ないよ。Aは、僕が見つけたんだ。そして、Aも僕のそばにいると約束した。それだけいいんだよ。」

「Aさん。早いところ太宰くんから離れた方がいいですよ。いつ無理心中されるか分かりませんからね。」

「安吾さん。ご心配ありがとうございます。
でも、太宰さんのそばにいることが私の生きがいなんです。太宰さんの隣以外に私の居場所はありませんから。」

「あなたも変わった人ですね、あなたがそれでいいならいいんですよ。
太宰くんもAさんを痛めすぎない方がいいと思います。
その傷。任務で怪我したのですか？」

「え？」

安吾さんは私の身体中に付いている切り傷を見て言った。
安吾さんに言われるまで気にしなかった。
この傷はいつもの事で、訓練をすればいつもどこかしら傷つく。
数日で治るのでいつも放ったらかしにしていた。

「たしかにな、ま、こんな世界にいるんだ。怪我なんて日常茶飯事だとは思うが、傷の手当はして方がいいぞ、A」

織田作さんはそう言って絆創膏を渡してきた。
とても優しい方だとしみじみ伝わってきた。

「ありがとうございます。これからは手当します。

でも、これは太宰さんは何も悪くないです。私を鍛えていただいているだけですよ。」

「Aさん。あなたって人は太宰くんに甘すぎますよ。」

「Aは、本当に可愛いなぁ」

太宰さんはそう言いながら後ろから抱きつく形になった。
2人の前なので少し恥ずかしかった。