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独特の気怠さと、頭の重さ。
うっすら目を開けると、もう外は眩しくて。朝であることと同時に一瞬で二日酔いであることを察する。
『……え、』
だんだんと意識がはっきりしてきて、ここが自宅でないことに気がつく。
ガバッと体を起こすと、自分がいたのはびっくりするくらい大きなベッド。キング…いや、これまさかクイーンサイズ?
ベッドに相応しいくらい広い部屋に独特の内装。窓の外はとても晴れやかであるのと同時に、無数に広がる東京の景色。
え、ここ何階…?
「あ、起きた?おはよう。」
軽くパニックになるわたしに突然声が降ってきて、わかりやすいくらいビクッと体が揺れる。
誰の声かなんて、振り返らなくてもわかる。
何度も、何度も、何度も。
わたしに元気をくれて、励ましてくれて、わたしを癒してくれた大好きな人の声なんだから。
「顔色良さそう。少しはマシになったかな。」
こちらに近づき、ベッドサイドに屈んでわたしと目線を合わした彼が爽やかにそう微笑む。
ぎゃー!!シャワー浴びてたんだ!!上半身裸じゃん!!えろすぎる!!という心の声をなんとか抑え込む。
『あの、わたし…。』
「七瀬さん、昨日あれから寝てしまって。住所知らないし勝手に免許証とか見るのはいかがなものかと考え、結果、ここ連れてきました。ごめんね。」
『い、いえ!!それは大変なご迷惑をおかけしました…!!』
ちょっとわたし、よりによって彼の前で粗相を犯すなんて、もう一生現場行けない。ってかもうテレビで顔すら見れない。
きっと人がいい彼のことだ。恩師の知り合いのわたしを放っておくことができなかったんだろう。下手すればSNSにあれこれ書かれる心配だってあるのに。
頭の中でぶつぶつ後悔と反省を繰り返していると、そんなわたしにとても優しい眼差しを向けてくる彼。
「七瀬さん、きっと俺の心配してくれてるんだろうけど、自分のこともちゃんと心配しないと。」
『え?』
「ガード緩すぎ。胸元、もう少し屈んだら見えそう。」
彼の言葉に今の自分の姿をやっと認識する。
キャミソールに、下は下着だけ。「ぎゃ!」と可愛くない声が出てわたしは思わずもう一回布団にくるまった。
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作者名:舞子 | 作成日時:2024年3月7日 12時