教えてアゲル。【Kei.Inoo】

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はしゃいでいる子どもたちの声は、一瞬で消えて。







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『ぇ………』







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慧くんの言葉がどういう意味なのか、少ない脳みそで考える。







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『えっと………どういう』







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慧『どういうって……そのまんまの意味だよ？』







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座り直して、わざとらしく咳払いして。







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慧『俺と、結婚してください』







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私の目をまっすぐに見つめる慧くんの瞳には、さっきのふざけた様子はなくて。







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『ほんと、に…？』







慧『嘘なんてつかないし………これ、』







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大きめのジャケットのポケットから出したのは、小さくて四角い箱。







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慧『手ぇ、出して…、』







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言われた通りに出す。







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ゆっくり視界が歪んでいくのがわかる。







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慧『コツコツ貯めたので、買っちゃった』







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左手の薬指に控えめにはめられた、サイズぴったりのリング。







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『っ………』







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慧『どう………かな？』







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夜のイルミネーションに負けないくらい輝くそれに、唇を噛みしめる。







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『けいっくん、………』







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慧『なんで泣くんだよぉ………』







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頭にふわっと手が乗っかる。







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ハートのモチーフに、シンプルな１つの輝き。







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『あり、がとう………、』







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慧『お礼じゃなくて…、返事聞いてない』







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私に笑いかける慧くんは、優しく涙を拭ってくれる。







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人を愛するって、こういうことなんだ。








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何度も壁にぶつかって、







何度も惹かれあって。







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”だいっきらい。”







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そう思う度に、どうしようもなく恋しくなって。







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仲直りする度に、この人じゃなきゃダメなんだって。








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『…、こんな私でよかったら







よろしく…お願いします、』







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