教えてアゲル。【Kei.Inoo】

３４ ページ34

.







.







.







大貴『お久しぶりです………』







.







横断歩道を渡ってこちらまで来ると、横にならんで一緒に歩く。







.







.







以前よりも伸びた前髪が目にかかり、横顔が少しだけ大人びている。







.







.






『元気だった…？』







.







.







大貴くんと会ったのは、本当に久しぶりで。







.







.







大貴『A先輩こそ！………元気なさそうですね、』







.







やっぱり分かっちゃうのかな。







.







.







『元気………ないよっ、』







大貴『どうしたんですかっ？』







.







.







”俺が聞いてあげます”







なんて大人っぽく言うけど、やっぱり後輩止まりで。







.







.







『大貴くんはさ、好きな人………いないの？』







.







言葉にして初めて、しまったと思う。







.







.







『あっと………ごめん、！そんなつもりじゃなくて…、』







.







.







そうだよ。







.







大貴くんに会うの、抱きしめられて以来なんだから…！







.







.







大貴『………………』







.







.







やっぱり嫌な気分だよね。







.







逃げちゃってから、全然話してないんだもん。







.







.







ちゃんと、ケジメつけなきゃいけないのに…。







.







.







『………ごめんね、』







.







大貴『………ぷっ………ふはは！』







.







お腹を押さえて笑い始める大貴くん。







.







.







『どうした………の？』







.







.







ぐっと腕を引かれて、急に近くなる大貴くんの顔。







.







大貴『A先輩…、』







『………ん、近い…よ』







.







.







まっすぐに私を見つめる大貴くんの目は、以前と違ってかわいいまま。







.






.







大貴『………好きでした。』







.







ボソッと呟く大貴くんの台詞も、前と少し違う。







.







.







『好き………でした？』







.






大貴『うん…、過去形になりました』







.







.






大貴くんの言ってる意味が分からない。







.

３５→←３３＿Kei

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す