教えてアゲル。【Kei.Inoo】

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『っ、離して！』







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どうあがいても、大貴くんは離してくれない。







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それどころか、もっと強くなる腕の力。







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大貴『簡単にこんなことされちゃうんですよ…、』







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耳に当たる、大貴くんのふわふわな髪の毛がくすぐったい。







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甘い柔軟剤の香りには、中毒性があるみたい。







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『………だめだよっ、』







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大貴『先輩…、好きです』







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消えそうなくらい小さく、だけど確かに呟いたそのとき。







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力強い腕がすっと離れた。







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大貴『あ………』







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慧『……何してんの、』







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慧くんが、大貴くんの腕を掴んでた。







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『慧………くん、』







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表情がよく見えない代わりに低めな声が、今の慧くんを表している。







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大貴『……ごめんなさいっ』







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それだけ言うと、走って帰ってしまった大貴くん。







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『………………』







慧『…………………』







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残された私たちには、気まずい空気が流れ込む。







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『あの…………慧くん、』







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こんなときに、こんなこと聞くのなんてどうかしてるって自分でも思う。







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『どうして、来てくれたの…？』







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だけど、どうしても知りたくて。







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慧『そんなの…、』







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慧『俺がAの彼氏だから、かな？』







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