【ハイキュー!!】真っクロに染めてやるよ【黒尾鉄朗】

the black person ＊20 ページ23

翌日


廊下を歩いていると

先輩らしき人物が見えた。




いや、あの頭だから割と確定してる。




いつもなら気にしないけど


こないだのデコチュー事件があるから


思いっきり顔を伏せる。




でも、こんな時に限って


気づかれるんだよね。





黒尾「お、A」


A「…こんにちは」


黒尾「自分でも数学の勉強してるか？」




あんたは教師か。


いつもなら口に出していう突っ込みも


今日は心の中に閉じ込める。





A「それなりにしてます」



じゃ、急いでるんで



たいして急いでいないくせに


早足でその場を去る。





黒尾「あ、おい！」



後ろで先輩の声がしたなんて知らない。







はぁはぁ




無駄に早歩きしたせいか



息が切れる。





もう年か…


べしょ、と効果音が鳴りそうなほど


机に倒れ込む。





顔が熱い。



ということはそうとう赤面してる。





突っ伏してた体を起こして


ゆっくりと額に触れる。




ポケットから白い手鏡を取り出し



自分の顔を映す。





いつも念入りに櫛を通す


自慢の黒髪。




真っ直ぐに切りそろえられて


サイドが少し長めの前髪。






ここに、昨日、黒尾先輩の…




あああああ！！！



ダメだ、思い出すのはダメ！





ぱちん、と手鏡を閉じて



また机に突っ伏す。






くっそ…


先輩、不意打ちは弱いこと知ってたのかなぁ。





今までの考えを払拭するように


はぁ、と女子高生に似つかわしくない


深い深い溜息をついた。

the black person ＊21→←the black person ＊19

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す