芥川さんのお友達。

＊ ページ14

『記憶...そう、しつ？』

病室で、お母さんは泣きながら私に話していた。


お父さんは、私の事を憶えていなかった。
私の事だけ忘れてしまった。
それ以外はいつもどうりなのに。

幼いながらに自分のせいだと分かっていた。

酷く、酷く悲しかった。


いつかきっと元に戻る。
きっと思い出してくれると思っていた。


然し、そんな願いは叶わなくって。


私は親戚に預けられることになった。


『それからも、私はいろんな親戚の家を転々としました。でも、どこに行っても嫌われてしまって、ずっと一人でした。

でも、18歳になって、仕事に就いて、一人暮らしを始めました。

小さなデザイン事務所だけど、凄く、暖かかったんです。まるで家族みたいに接してくれて。

初めて、自分の居場所が出来たんです。

だから、自分が普通じゃないことに目を瞑りたくて、もう....忘れて欲しくないのに。


.....異能力、だったんですね。』


この呪いのような、私の力は。



力無く笑う事しかできなかった。



*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*

無自覚に異能力を使ってしまうってのも、この世界じゃあないこともない。

太宰さんはそう言っていた、僕がそうであったように、でも、Aさんは...


「...これ、あげるよ。」

そう言って乱歩さんが彼女に手渡したのは、かわいらしい包装のロリポップキャンディだった。


珍しい()

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