手放せない特権 ページ15
―モウアワナイホウガイイ―
カズの言葉が、頭の中で宙を舞って何度も繰り返す
どうして
なんでいきなり…
もう
カズに会えないの…？
それなら
あたしが言えることは
たった一つ
．
．
｢カズの事なんて好きじゃない｣
．
．
他にどう言えっていうの？
そんなに
あたしの気持ちが迷惑なの…？
どうせ
会っても会わなくても辛いんだから
だったら
会える方がいいに決まってる
．
｢…何言ってんの！
カズなんか勘違いしてない？
あたしがカズを本気で好きだなんて…
冗談に決まってんじゃん！！｣
和｢A…俺…｣
｢あっ！もう終電無くなるから帰らなきゃ！！
ごめんねカズ！！
じゃあまた！！｣
和｢A待てって…｣
．
カズの家を飛び出して、たまたま通り掛かったタクシーに飛び乗る
待てるわけないじゃない…
まさか、こんな形でこの気持ちにケリをつけなきゃならなくなるなんて…
だったら、正直に好きだって伝えれば良かった
でもやっぱりダメ
だって
もうカズに会えないなんて耐えられない
“幼なじみ”という特権が無くなるのなら
それを無くさずに済むのなら
どんな嘘だってつくよ
自分の気持ちに嘘をつくのは
慣れっこなんだから
．
．
その日から、カズからの連絡は無かったし、あたしからも連絡しなかった
だってまだ、カズの前で笑えそうにない
笑えないあたしなんて
カズを励ませないあたしなんて
必要ないんでしょう？
ねぇカズ
でもね
あたしが笑うためには
カズが必要なの
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：紗愛 | 作成日時：2011年8月20日 22時
