必要のない嘘 ページ11
なんでだろう
なんで嘘なんかついたんだろう
いつも誰かとランチしてるんだから、同僚と一緒だって素直に言ったって良かったのに
相手が木村さんだったから？
カズ以外の男の人といる自分を、カズに知られたくなかったから？
でも
例え相手が同性だろうが異性だろうがきっと
．
．
カズは何とも思わない
．
．
木｢電話大丈夫？｣
｢あ、はい｣
木｢もしかして…男？｣
｢…はい｣
木｢好きなんだ？｣
｢…なんで…？｣
木｢だってAちゃん…
泣き出しそうだよ？｣
｢そんなこと…｣
木｢そんな顔するほど好きなんだね｣
｢…はい｣
木｢…ダメだ。出ようか｣
｢えっ？でもまだ時間｣
木｢泣きそうな顔のAちゃんを口説かないでいられる程、俺大人じゃないんだわ｣
｢木村さん？｣
木｢今日は口説かない約束だからね(笑)｣
木村さんはスマートに会計を済ませ店を出る
｢木村さん、あたしの分の代金…｣
木｢いいって(笑)
好きな子からお金なんて受け取れないでしょう？｣
｢でも！そういうわけにはいきませんから！｣
木｢俺が誘ったんだから。ね？｣
｢でもやっぱり…｣
木｢Aちゃん意外と頑固だなぁ(笑)
じゃあ今度コーヒーでも奢ってよ？
それでおあいこ！｣
｢…はい。すみません、ご馳走になります｣
木｢そうそう、素直にね♪｣
．
オフィスに向かって歩き出す木村さんの背中を見ながら、カズのことばかり考える
やっぱり、さっきの電話のカズ…ちょっと変だった
帰りに顔見に行ってみようかな…
あたしは、今日は残業しなくて済むように、午後は一段と仕事に集中することを固く決心した
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：紗愛 | 作成日時：2011年8月20日 22時
