山短編集2(OS) (ページ3)

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2人の形ページ3

そんな状態が続いたある日、翔くんが明日泊りがけで智くん家に行っていい？と聞いてきた。

おれ自身は暇でいいけど、一応母ちゃんに確認してからと返事をして母ちゃんに確認をとった。

OKをもらってそれを伝えると、ごめんちょっと今日俺面倒くさいかも、と先に謝られた。

「何言ってんだよ。おいらだって翔くんに結構迷惑かけてんだからそれは言いっこなしだろ」

「智くん……ありがとう恩に着ます」

翌日、いつもより少し元気がなさそうに見える翔くんがお酒とおつまみをぶら下げてやってきた。

部屋に入って最初こそ違う話をしていたけれど、ある時からぽつりぽつりと元気のない理由を話し始めた。

どうやら、大学の時からの友人が結婚するというのがきっかけらしかった。

「浮ついた話のないやつだったからみんなでどんな子なんだどんな子なんだって質問責めにしたんだ。そしたらあれ？って思うことがいくつか出てきて、最後に写真見せてもらったらさ……高校の時の元カノだった」

でも祝福できないとかそういうわけじゃないんだ、と翔くんは続けた。

「なんかどんどん時は流れてるんだなあって改めて思っちゃって……去年もみんな就職するのにスーツ着てエントリーシート書いてーってしてるの見て俺何してんだってちょっと思ったりもしたけど……改めて現実突きつけられた感じ」

地に足をつけて自分のやりたいことをどんどんやって進んでいく友人たちを見て、翔くんの中に色んな感情が湧き上がったのは苦しそうに語る表情を見れば想像に難くなかった。

「別にね、この仕事をやりたくなくてやってるわけじゃないし、なかなか思うようにならないのも仕方のないことだと思ってる。アイツらだって多分色々あるだろうし……でももう焦りと不安がどうしょうもなくなっちゃって……これを抱えたままいるのはちょっと、耐えられなかった」

そう言って今にも泣きそうな翔くんが可哀想になって、思わず頭を撫でた。

撫でるうち翔くんの目からはポツポツと雫が垂れていく。