山短編集2(OS) (ページ15)

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トワに近い場所ページ15

多少やり方は乱暴だけれど(強く言わないと俺が聞かないと分かってるから)、言葉でも行動でも心配してくれていることが伝わってきて、心がじんわりと温かくなる。

心配してくれたことへの嬉しさに思わず笑みがこぼれると、智くんは何笑ってんだよと口を尖らせた。

「はは、ごめん。嬉しかったの、思われてるなってさ」

「もう……ムリ、しねぇ？」

「なるべく善処します……ていうかあなた、俺の顔見にきたんじゃなかったっけ？」

「……変わった。しょーちゃんと一緒に寝る」

「あはは、ありがとう笑」

俺が一応のお礼を言う頃合いで、智くんはたわんでいたシーツを直して下にしていた布団を上に掛け直した。

「んじゃあねるか」

「うん、おやすみ」

「……ねぇ」

「ん？」

呼ばれたので答えると、浅黒い手が頬に優しく触れて、智くんの顔が近づいてきたと思ったらそのまま唇が重なった。

「愛してる、おやすみ」

少しだけ妖艶な、でも幸せそうな笑みでそう言われて、思わず心臓が跳ねた。

「ねぇ……俺を寝かすつもりあるの？」

「あるよ。でも、おれの心配笑った仕返し」

「意外と根に持つよね、あなた」

「しょーくん限定でね」

「嬉しくねー」

少し呆れて言えば、智くんはふふっと笑って、今度こそ、優しい優しいおやすみを囁いた。