山短編集2(OS) (ページ13)

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時を越えてページ13

その羞恥と自分への思いの嬉しさで、気がつけば智くんを思い切り抱きしめていた。

「ごめん！俺何もないし、なんなら智くんが目の前に現れるまで忘れられたんだと思ってた。でもっ……貴方のことが大好きです、ずっと一緒にいたい……」

肩口に顔を埋めるようにして、途中から目が潤むのを感じながらも何とか言い切った。

するとこっち向いてと促されその通りにすれば、目尻に溜まっていた涙を人差し指で拭われて、次の瞬間には唇に温かいものが触れていた。

「愛してる。離れてぇつっても離してやんねぇからな」

そう言って男くさく笑った智くんが見惚れるくらいカッコよくて、俺は真っ赤になった。

「ねーこの後予定ある？」

「や、一応空けときましたけど……」

「良かった。予約とってるとこあんだ」

「えっ……なんかめちゃくちゃ用意周到じゃないですか……」

「ふふ、そりゃあ"初めてはムードが肝心"らしいし？」

「あれ……もしかして予約してるのはディナーだけじゃなかったり、します？」

「そーゆーこと。って事で翔くん覚悟してね？」

「えっえっ……俺、心の準備がっ……」

「だいじょぶ。まかしといて。10年分かわいがっちゃる」

「あーマジかよぉ……」

「ふふっ、かわいい」