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story ページ1

その人形。彼女、ミスティーネは生きていた。人形師である彼と生きていた。
しかし、彼は在るとき彼女と言い争いになった。
その様子を、彼の従者、レインは見ていた。
言い争いの挙げ句は、ミスティーネを小さな隠し部屋のような部屋に閉じ込めるお遊びだった。
人形の主人、人形師の彼にとって、ミスティーネはお人形遊びの「道具」でしかないのだ。

彼の従者レインは憎く思う。
いつも一緒だった、ミスティーネにこんな、レインはそう思う。それは、彼のことを思うほど強くなるそうだ。そうレインは語る。レイン、「憎しみが積もり、破裂しそうだ。坊ちゃんの……大切な人形、ああ、坊ちゃんの大事なものを壊したいくらいだ」そうとだけ言うと口を閉ざす。そこには不穏な空気があった。人形師の彼はそれを見ていた。しっかりと、見ていた……。

家族。
人形師である彼の家族は彼の趣味を忌み嫌っていた。特に嫌っていたのは彼の父と妹。
父親は厳格なひとのようだ。いつも「常識」という言葉を使う人間だ。
だから、彼の常識離れした、生きているといっても所詮人形、つまりは人形遊びがどうも気に入らないらしかった。息子として立派に成長しての欲しいのだが、どうして、何故?そう思っていた。かもしれない。
妹はおとなしい性格だが、部屋でぶつぶつとオカルトチックな何かを唱える不気味なひとだ。
ある晩、従者レインは聞いた。部屋で「お兄様のあの悪趣味が直りますように……」と。
その言葉に、扉を挟んで強い想いを感じ、鳥肌が立ったとレインは云った。
普段口を開かない分、重みがあったのだろう。

そうして、言い争いの日から幾日がたつ。
彼はようやく、ミスティーネを部屋から出す。家族やレインは体力を消耗しているのではないのか、と思っていた。何しろ彼以外人形の仕組みを知るものはいないのだ。そう思われる中だが、彼女はぴんぴんしていた。彼との言い争いも忘れたかのようで彼にべったりとくっついていた。彼もその様子を嬉しそうに眺めていた。家族やレインは驚いた。レインの様子から二人の仲まで。
「なぜ、なぜあの子が生きているのかしら」
「ふぅん、死なんのか。ほう……」
「坊ちゃん、よかったです、坊ちゃん……」

しかし、それからまた数日のことだ。奇妙なことが起こる。
誰もいない家で留守番をしていたミスティーネが椅子に座ったまま、頭だけをぱっくりと割られ死んでいたのだ。椿の花の如く……
そこには彼女の残した想いの残響があるかもしれない、

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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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青鼬(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nowaru0523です。 (2018年11月4日 13時) (レス) id: 6ac0affda3 (このIDを非表示/違反報告)
青鼬(プロフ) - 参加させてもいいでしょうか? (2018年11月4日 13時) (レス) id: 6ac0affda3 (このIDを非表示/違反報告)
企画主さんへのご忠告事項。 - 桜さん» アナタは迷惑行為常習犯で有名なあの方と同一人物ですか? また同じ事を繰り返されるおつもりですか? これ以上被害者を増やさない為にもお願いですから辞退してさしあげて下さい。 (2018年10月23日 5時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
おるらんど(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます。 (2018年10月22日 18時) (レス) id: ab051d6c7c (このIDを非表示/違反報告)
おるらんど(プロフ) - 薫風卯月さん» ありがとうございます! (2018年10月22日 18時) (レス) id: ab051d6c7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おるらんど | 作者ホームページ:http  
作成日時:2018年10月16日 0時

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