【MSS.P】俺らのツンデレ姫の話する？ 2nd

▼57 side E ページ15

とてつもなく眠くて、いつも以上に眠くて、言ってしまえば人生最大級に眠いんじゃないかってくらい眠くて保健室に逃げ込んだ。


でもそこには先約がいて、保健の先生のいない保健室で女子生徒が何かを探していた。


「なんか探しもん？」
「絆創膏を……え、えおえおくん……！」


振り向いた女の子は俺を見て顔を赤らめた。


「……一緒に探すよ」


どうしたのか聞くとプリントで指を切ったらしく、止血は出来たけど絆創膏がちょうど切れてて貰いに来たと。


「あ、あった」
「あ、ありがとう……！」
「ん」
「……？」
「貼るから手、出して」
「……っ！」


絆創膏を外袋から出して、差し出された手に触れるとさらに顔を赤くした。


絆創膏を貼るのってちょっと苦手。
手に貼り付いたり、縮れたりするから。


「……できたと。綺麗な手なんだから気をつけたほうがいいよ」
「……」
「……？」
「……き……です……」
「え？」


手当中ずっと俯いていた頭がやっと上がって初めて目が合った。


いや、入ってきた時にも合ってるわ。


「前にもこうやって助けてくれて……ずっと好きでした……見てました。付き合ってくださ、い……」



……ああ、ダメだ。


最近どうでもいい子にこうやって行為を向けられると、どうにも気持ちが悪い。


前にきっくんとFBに「お前は天然タラシだから、いつの間にか女の子を落としてる」って言われた。


確かに思い当たる節がないわけではない。


でも、本当に思ってしまったんだから仕方ない。


口に出てしまったんだから仕方ない。


きっくんとかあろまみたいに上手いこと自分の頭で意思で落とせるならAさんも俺の事好きになってくれるのだろうか。


いつもなんて女の子に言ってるんだろうか。


ああ、Aさんに会いたいなぁ。



「……俺好きな子がいる。付き合えない」
「……」


女の子は何も言わず、目にいっぱいの涙溜めて、勢いよく保健室を出ていった。

▼58 side E→←▼56

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す