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「え、じゃあそいつの名前わかんないの?!」
「うん、聞くタイミングなかった」
「信じられない!」ってプンプンしながらまりえはバスケットボールをゴールに投げ込む。
体育は他のクラスとの合同で行われる。
だから、面識ない子が結構いたりする。
「仕返しが出来ないじゃん!」
「仕返しって……。学年が一緒だったからそのうち嫌でも顔合わせると思うけど」
「見つけたら言ってね!」
「はーい」
生返事をするとまりえは軽く私の頭にチョップをした。
そのせいで昨日のあろまくんとのことを思い出し体が何だか熱を持つ。
先生の笛の音が鳴り響いて集合の合図。
これから試合をするためチームに別れてコートに入る。
笛の合図で試合が始まる。一斉に走り出す。
女子特有の高い声が体育館に響きわたる。
パスが回ってきてゴールに向かいドリブルで進んで行くと私の前に敵が三人立ちはだかる。
間を抜こうとすると、すれ違い様ニヤリと口角が上がるのが視界の端に見えた。
まずいと思った時には既に遅く、足を引っ掛けられ倒れる体。
勢いよく体を床に打ち、足に痛みが走る。
「きゃー!Aちゃんごめんね……!大丈夫……?」
鼻にかかったような、甘ったれた声を出す女子、確か他のクラスの主犯格さん。
「ちょっと……貴方ね!……A、血!」
しゃがみこむ私の横に来て何かを言おうとしてくれたまりえは、そんな私の膝に滲む血を見て慌てて私に目線を合わすようにしゃがみ込んだ。
「ああ、大したことないよ。保健室行ってくるね」
心配そうに私を見るまりえを制して立ち上がり体育館を出た。
「くっそー……まだ狙われるのかぁ、めんどくさいなぁ……」
取り急ぎ持っていたハンドタオルで膝を抑えながら保健室に向かう。
保健室の扉を開けようとすると、中から勢いよく出てきた子と出会い頭ぶつかりそうになるが、お互いに回避して、その子が「すみません」と頭を下げて走り去って行った。
しばらくその子の去っていく後ろ姿を眺め首を傾げながら保健室に入った。
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有馬(プロフ) - げふりーるさん» はじめまして、作品を読んでいただきありがとうございます。そう言ってもらえると書いた甲斐があります。とても嬉しいです(;_;)ありがとうございます!! (2018年11月14日 17時) (レス) id: 803c666fd8 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 007さん» いつもありがとうございます!新作もよろしくお願います(o^^o) (2018年11月14日 17時) (レス) id: 803c666fd8 (このIDを非表示/違反報告)
げふりーる(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!最初から最後までドキドキしながら読ませていただきました。この様な素晴らしい作品に出会えて本当によかったです。 (2018年11月12日 19時) (レス) id: db287560ed (このIDを非表示/違反報告)
007(プロフ) - ついに完結…おめでとうございます!あろま先生落ちも、恋叶わないけど応援してくれる男子も、ツンデレちゃんも大好きなんで、最高!って思って読んでました!なんだこのぽっかりと穴があいた感覚…まぁいいや。今作も面白かったです!新作楽しみです!応援してます! (2018年11月12日 1時) (レス) id: 378ccf97ed (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 007さん» ありがとうございます!(*^ω^*) (2018年11月1日 18時) (レス) id: 803c666fd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有馬 | 作成日時:2018年10月17日 0時