第一話 ページ1
私には、愛している人がいる。
でもその人は、私を愛していない。
どうしても付き合いたくて、中学のとき一度だけ告白した。
返事は「ありがとう、俺もみーちゃんのこと大好きだよ！」
この言葉なら、付き合う意味をもつ返事だと思うだろう。
しかしながらなんの進展もなし、というか付き合ってもいない。
いつでも妹扱い。
女としても見ていない。
どうしたら付き合えるんだろう＿＿
「はあ…」
にぎわう教室で一人、椅子に座りながらため息をつく。
もともと喋る性格ではないので、クラスでは若干ういている。
そんなことはどうでもいい。
こんなうかれた場所でくらいため息をついている理由は。
「たか兄が別れようだなんて…」
そう、悪夢を見たのだ。
最初こそ念願かなってたか兄と付き合えたところまではいいものの、夢が覚める最後には「ごめんみーちゃん…別れよう」。
まさしく悪夢と言わざるを得ない。
「まあ、夢だしね」
悪夢だけど。
夢は夢。現実にはならない。
そう気持ちを切り替えて、窓の外を見ようとしたとき、一人のクラスメイトに声をかけられた。
「なあなあ、安西さん」
「なに？」
「今日このクラスに転校生来るらしいよ！」
「そう」
「ちぇ、あいかわらずノリ悪いなあ」
知ってるんだったら声をかけるな。
とは言わないのがおりこうさん。
おそらく、転校生の話題で盛り上がった男子が誰ともなく声をかけにあたったさきが私だったのだろう。
「転校生なんてどうでもいいから、早くたか兄に会いたい…」
そう呟くと同時に、いつの間にかチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。
「席に着きなさーい」
クラスメイト達はどこかそわそわしていて、ひそひそと会話をしている。
「転校生、ね」
「今日は転校生を紹介します、みんな仲良くしてくださいね」
そう言って教師はドアの前にいるであろう転校生を手招きした。
「入りなさい」
ガラララとドアが開かれ、入ってきた人物たちは＿＿
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作者名：aoi | 作成日時：2020年7月31日 13時
