小さなキューピット【佐野玲於】

負の連鎖 ページ42

玲於side




佐藤さんとの電話から帰ってきてから
Aがそわそわしてる。





なんで？

佐藤さんのこと好きって気付いちゃったから？








スマートにお会計してかっこいいとこ見せようと思ってたのに
もう遅いってやつ？？はぁ。




もうどうにか伝わってほしいと思って強引に手握ったけど
振り払われる始末。はぁ。







今までAの気持ちを百発百中で当ててきた俺は
自分の予想を疑うことはなくて

もう A→←佐藤さん の図が頭に浮かんで離れない。





なんなのこの急な負の連鎖。

さっきまでいい流れだと思ってたのに。







.









流れを変えようと思ってちょっとだけ
酔っ払ってる頭をフル稼働させて話題を変えた。









ずっと言いたかった、またAのご飯食べたいってこと。

あと、他の男の家に行ってほしくないってこと。





でもなんかご飯のことは照れ臭くて遠回しになっちゃったし
他の男ん家は俺が独り占めしたら行けなくなるなんて浅はかな考えで。






あぁ…A困ってるし。

困らせたいわけじゃねぇのに。









でも最終的には「玲於くん家だけ」とか言いやがって
また俺の心勝手に持っていきやがる。









あーもう離れらんねぇや。

Aは別の方向を向いてるっていうのに。









そんな悪の無限ループにハマりながらもAの家に着く。









A「送ってくれてありがとね」

玲於「ん、当たり前」

A「じゃあ、またね」

玲於「…A、」

A「どうしたの？玲於くんさっきから悲しい顔してる」




何？俺のこと気にしてくれてんの？





玲於「そんなことねぇよ。またな！」









これ以上、Aを困らせたくない。

Aがやっと気付けた気持ちを応援しないと…
なんて頭では分かってんのに。

行動に移せない俺はよっぽどのガキ。









告白してないのに振られた気分の俺は

帰り道の記憶なんて1つもなくて

頭に浮かぶのは俺の好きなAの笑顔だけ。









はぁ…佐藤さんなんかじゃなくて

俺を好きになってくれよ。







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