共依存【三途春千夜】 ページ19
「もうこんな時間か…」
彼女は同棲している交際相手の帰りを待っていた
あまり大きな声では言えないのだが、彼は堅気の人間ではない
組織の上の立場が故に毎日が激務に追われていた
そして職業柄仕方のない事なのだが…
勤務時間などの時間帯が不定期であった
「あっ。春千夜、かえってきたかな…?」
玄関先で彼の声が聞こえたと思った彼女はその足で玄関まで出迎えに行った
「今日は5人殺した」
帰宅早々の彼は開口一番が物騒であった
「……うん?……えっと…おかえりなさい…!」
一瞬ためらった後に彼女は明るく振舞った
「2人は
彼女のお迎えの挨拶を無視して彼は淡々と話し始めた
「残りの2人は……」
真顔で言って靴を脱ぎかけたその時、彼女が彼の名前を呼んだ
「春千夜」
彼女は名前を呼んだ後に彼の口を自分の口で塞いだ
「……もう聞きたくない」
リップ音を立ててから彼女は彼から唇を離した
「お疲れなのはわかったから…
お仕事の話はもうやめて?」
そう言った彼女は悲しそうな表情をしていた
「……悪かった。先に風呂行ってくる」
我に返った彼は彼女の頭を優しく撫でて謝罪をした
30分後__
風呂から上がって髪を乾かし終えた彼は、彼女を後ろから抱きしめていた
「ご飯できてるけど…食べる?」
彼女は読んでいた本を閉じて彼に聞いた
「おう。もうちょいしてから食う」
後で食べるつもりだった
「今はAで充電中だからな」
彼女にギュッと抱きつきながら癒しを補給した
「春千夜。今日もお疲れさま」
彼女は彼の腕の中で労いの言葉をかけた
「A」
ふいに彼は彼女の名前を呼んだ
「すき」
突然の告白は一言では終わらなかった
「大好き」
抱きしめる力を強めながら愛を囁いた
「愛してる」
彼から彼女への溢れる想いは次々と飛び出た
「……えぇっと……熱烈、だね?」
彼女は困惑しながら彼の様子を伺った
「Aはオレのこと好き?」
彼は職業柄…
人を殺めるなど仕方のない事であったが、実はメンタルがかなり弱かった
それ故にこうして彼女に再確認をすることは
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作者名:おりたん | 作成日時:2023年2月19日 9時