愛寵噺【東京卍リベンジャーズ】 (ページ46)

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「主催者はイタリア人だとよ」

ビジネスの交流を終えた彼は、彼女と舞踏会が行われる会場に来ていた

「イタリアか…。シチリアのマフィアが真っ先に出てきたよ」

そもそもマフィアはイタリアのシチリア島が起源であった

2人が軽く世間話をしていると、社交ダンスの時間が訪れた

「A」

彼女の名前を呼んだ彼は、歩み寄って両足を揃え軽くお辞儀をした

「Mi concede questo ballo?(ミコンチェーディクェストバッロ)」

訳：私と踊っていただけませんか？

礼儀作法に習って彼は…

謙虚(けんきょ)な姿勢で手を差し出して、イタリア語で彼女を社交ダンスに誘った

「Sì’ volentieri(スィーヴォレンティエリ)」

訳：はい。喜んで

それに応えるかのように彼女は微笑んで彼の手を取った

彼は彼女をエスコートして会場の中央まで導いた

「さすがに…目立つね」

2人とも整った容姿をしているので、周囲の視線は彼らに釘付けだった

「悪いな。……イヤだったか？」

彼は彼女の顔色を伺いながら小声で話しかけた

「ううん。違うの」

彼女は即答で告げて首を横に振った

「ワルツは練習したけど、ちょっと…自信がなくて」

彼女にとってはデビュタントであるが故に…

公の場での社交ダンスは不慣れで、緊張で少し自信が欠けていた

「心配せずとも…オレがリードしてやるから」

彼女の腰を引いた彼は、より一層距離を縮めた

「Aはオレに身を任せて」

紳士な彼は彼女を安心させるように告げた

「うん…。ありがとう」

少し気恥しい気持ちのまま彼女は彼に礼を言った

「後、よそ見は厳禁な」

追記するように彼は補足した

先ほどから彼女の視線は、緊張のあまり俯いて下を向きがちであった

「今はオレだけを見て」

彼は熱っぽい視線を向けて彼女に放った

「…っ……わかった」

不意打ちの彼の真剣な眼差しに…

彼女は胸が高鳴りながらも返事をした

余裕がある彼は

そんな彼女の様子を

微笑ましい目で見ていた