添い寝【羽宮一虎】 ページ18
「かずとらぁー」
仕事が終わり帰宅した彼女は、玄関先で彼の名前を割と大声で呼んだ
「ただいまー」
彼は彼女よりも先に家に帰っていた
「おかえりー。やっと帰ってきたな」
奥の部屋から出てきた彼は、真っ先に彼女を抱きしめた
「今日もなんとか、Aさん無事に帰還しました…」
彼女は縋るように彼に抱きついた
「おー。Aさんお疲れ様です」
よしよしと彼女の頭を優しく撫でた
「今日も残業がんばったな。えらいえらい」
労いの言葉をかけては彼女の背中を優しくさすった
「んー。一緒に、おふとんでおねんねしよ…」
半分睡魔と戦っている彼女は口調がいつもと異なった
「一周まわって…ガキみてェだな」
疲弊した彼女の言動が幼子のようで、語彙に至っては
「とりあえずメイク落としてこいよ」
肌荒れの原因になると言って化粧を落とすように勧めた
「ピアスも外せ。付けたまま寝たら痛てェぞ」
寝返りを打った時に怪我をする可能性があった
「後、コンタクトも忘れんなよ。
目のトラブルは避けたいからな」
病院沙汰になる前に目玉のトラブルは避けたかった
「そしたら…一緒に寝てやるから」
これはあくまで仮眠を前提とした話であった
彼は万が一彼女が寝落ちしてもいいように、上記のように何点か忠告をした
「んー。わかった。化粧とピアスは、落としてくる」
そう言って彼女は洗面所に向かった
度入りのコンタクトは寝る直前に外す予定であった
「んでその時ね。普通に会話しとってよ?」
彼女は彼が用意した晩ごはんを食べながら…
今日あった出来事を彼相手に話していた
「ヘッドホンがえろ本って聞こえた」
真顔で言っておみそ汁を啜った
「もう空耳とかのレベルじゃないわ」
勘違いの域ではないらしい
「
自分で言っておいて少し悲しくなった
「もう末期だろ」
彼は少し笑いながらツッコミを入れた
「マジでそれ。お疲れさまです」
彼女は自分で虚無顔で言って茶を口にした
「お前がな。とりあえず寝ろ」
色々な面で壊れかけている彼女に対して…
彼は呆れながらも彼女のことを思って労った
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作者名:おりたん | 作成日時:2022年10月1日 2時