艶ノ譚肆【梵天】 (ページ5)

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味見ページ5

『…っ…！』

Aは恥ずかしさのあまり俯いてしまった

『あのっ…ありがとう､ございます……』

距離感に慣れないAは、分かりやすく顔を赤くして礼を告げた

佐野万次郎「ウブな反応でホント可愛い」

そしてそのまま自分の口に含んでAの耳元で囁いた 

『…っ…！』

追い打ちをかけられたAはさらに体が火照った

佐野万次郎「A。ちょっとこっちに来て」

彼は正面に座っているAを自分の隣まで移動させた

『なんでしょうか？』

Aは彼の思考が読めないので頭に疑問符を浮かべていた

佐野万次郎「少し試したい事があってな」

自分の隣に座らせた彼は、皿の上に乗っているケーキを一瞥した

そしてケーキにデコレーションされている生クリームを、指でひと掬いして取った

『…っ……！』

何を思ったのか彼はAの唇にクリームを塗りたくった

よく分からない状況だが、羞恥に晒されている事は確かであった

彼は勢いに任せて無言でAに口付けをした

『…っ……んッ…』

Aはいきなりされたキスに対して少し驚いていた

佐野万次郎「ん。甘っ……」

吐息を零した彼は貪るようにAに唇を重ねた

『…っ……ふっ……んッ…』

Aの口からも甘い吐息と声が溢れ出た

佐野万次郎「甘すぎて…酔いそう」

彼は口付けと生クリームを両方味わっていた

『さ、佐野さん…1回…落ち着いて……！』

耐えれなくなったAは彼に訴えかけて肩を押した

佐野万次郎「……悪かった」

彼はすぐに聞き入れて素直にAに謝った

互いの口を離すと、Aの口からは艶のある唾液が滴っていた

佐野万次郎「なぁ…A。

さっきの生クリーム、指についた」

指ですくった際に生クリームが少し残っていた

佐野万次郎「舐めてキレイにして」

彼はAに向けて人差し指を突き出した

『…っ……わかり、ました…』

断れない立場に置かれているAは、彼の言う事に素直に従った

『指、お借りしますね…』

Aは上目遣いで彼を見上げた

そして控えめに彼の指を口に含んだ