艶ノ譚肆【梵天】 (ページ2)

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漁色ページ2

「おねえさん」

Aは渋谷駅のベンチに腰を下ろしていた

「今ひとりー？」

1人で座っていると大学生に声をかけられてしまった

『いえ。迎えを…待っています』

本日のAは非番で部下と共に買い物をしていた

彼は近くまで車を回すと言って取りに出払っていた

「じゃあ俺も待とうかなー」

何を思ったのか知らないが、大学生はAの隣に座り出した

「少しの間でいいからさ…話相手になってよ」

あざとく言ってAを困らせていた

『えっと、もう少しで迎えが来るので…』

案の定Aは対応に困っていた

「んー。まだ時間かかりそうだしー

どっか別の場所に行こうよ！」

この短時間で痺れを切らした大学生はAに提案した

「俺さ、いい店知ってるから！

案内するから来なよ！！」

明らかにAの方が年上なのは明確で…

初対面でいきなりタメ口な上に、失礼極まりない態度であった

『…っ…！』

街中でナンパなど初めてされたAは、困惑を通り越して恐怖を覚えた

『いや、離して…！』

大学生は食い気味にAの腕を掴んだ

「なーんでよ。おねえさんノリ悪いー」

この者は強引にAを連れて行こうとしていた

『…っ…ホントに、いや……！』

Aは涙目で訴えかけた

？「おい。ナンパ野郎」

その時、近くにいた人物が大学生に声をかけた

？「嫌がってんのに連れて行くとか外道かよ」

声をかけた人物はAよりも、一回り上の年齢に見えた

そして左の耳には、印象的な鈴の音が鳴るピアスをつけていた

「は？あんた誰だよ」

大学生は相変わらず口の利き方がなっていなかった

？「別に。通りすがりの通行人だ」

気にした様子はない彼は会話を続けた

？「とりあえず…その手を離せ」

彼は大学生にAを解放するように告げた

「なんだ。他人じゃん」

大学生はAとは縁がなさそうと思った彼に内心ホットしていた

「関係ない奴は帰ってくんね？

今いいトコなんだからさー」

彼の話を無視して大学生は歩き出そうとした