艶ノ譚参【梵天】 (ページ6)

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冗談ページ6

？「そ。オレの名前。

あんたは…白木Aだよな」

元・浅草の花魁は、見る人が見ればすぐに白木Aだと認識できた

『あのっ…私に、声をかけた理由は…なんですか？』

Aは彼に問いかけた

半間修二「別に。特にこれっていう用はねェよ」

彼は吸っていた煙草を捨ててAと視線を合わせた

半間修二「値踏みというか…ひと目見たかったンだよ」

以前からAにとても興味があった様子だ

半間修二「まぁ…あんたは、こんなん言われ慣れてるよな」

少し同情したように彼は告げた

半間修二「……っと。誰かこっちに来るな」

彼は第三者の足音が聞こえたのを感じ取った

半間修二「まぁ、今日のトコはこれでお開きだな」

踵を返して彼はその場から立ち去ろうとした

『あのっ…！結局…貴方は、何者なんですか？』

Aは彼に再度同じ質問をした

半間修二「だから罪人だって。指名手配犯」

彼はAの発言に少し違和感を覚えた

『そんな風には、見えないのですが…』

Aは彼をまじまじと見つめて言った

半間修二「あんた人が良すぎだろ。

そんな性格してっと…誰かに襲われんぞ」

彼はAに近づいて次の言葉を放った

半間修二「例えばオレに」

かなりの至近距離で、彼はAの耳元で囁くように告げた

半間修二「……ってのは冗談」

そしてすぐに離れてAと距離をとった

半間修二「またどっかで会おうぜ」

そう言って彼は、路地裏の暗闇に吸い込まれるように消えていった