優美 ページ29
「ホストの男も客の女性も…
ちゃんと支払ってもらわなきゃ」
客は売り掛けを支払うためには、店舗に直接行く必要がある
簡単に説明すると後払い決済であった
「じゃなきゃ、白木さんの
今までの苦労が水の泡になりますよ」
もしも…
客が売り掛けを払えなければ、店側はホストに請求する制度になっている
状況次第では分割払いにしてでも、最終的には必ず売り掛けの金額を回収する
そのためホストは、店側に対して借金を抱えることも少なくはなかった
灰谷蘭「大体…まどろっこしいんだよ」
彼の言うとおり、脅迫をしてしまえばすぐに解決ができた
「そうもいかないんですよ」
裏社会では一筋縄でいかないのが現実であった
「脅迫は、その時の状況と相手によります」
依頼内容にも沿わなければならなかった
「ホント…面倒ですよね。反社会勢力で生きるのって」
ため息を吐いて彼は小声で呟いた
静まり返った店内では__
『お怪我はないですか?お嬢さん』
Aは腰が抜けて立てなくなった女性に手を差し伸べた
「は、はい…」
戸惑いながらも女性はゆっくりと上体を起こして、Aの手を取った
「ヤバい。白木くん…マジでイケメン」
女性はAの行動に胸を打たれた様子だった
『他のお客様に、キャストの方々』
振り返ったAは店内を見渡した
『この度はご迷惑をおかけし…
大変申し訳ありませんでした』
Aは本人たちに代わって、店側の従業員と他の客に謝罪を入れた
この場を持って詫びると言ってAは深く頭を下げた
『では、僕はこれで失礼しますね』
少々席を外すと言ってAは女性の手を引いた
『それと…そちらのキャストの方』
去り際りにAは男を一瞥した
『何が理由であれ、男は女の涙を許すものですよ』
女の涙は…
許すのが男
たとえそれが
嘘の
『内勤さん。その方の処罰を任せてもいいですか?』
店内で騒ぎを起こした男に対して、ペナルティーを課せた
「了解です。こちらはお任せ下さい」
内勤の従業員はすぐに承諾し、別室で控えている灰谷蘭と連絡を取った
Aはこの一連をスマートに事を丸く収めた
443人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おりたん | 作成日時:2022年8月11日 22時