闇夜に咲く一輪の花５【梵天】 (ページ12)

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水無月ページ12

今の季節は6月＿＿

2人は部屋の格子から垣間見える紫陽花(あじさい)を眺めていた

九井一「お前と見る紫陽花もまた一興だな」

梅雨の時期に咲く紫陽花は雨が降ってこそ輝きを増す

『極彩色(ごくさいしき)がキレイだよね』

紫陽花は花弁の色が多種多様であった

花言葉は＿＿

移り気・心変わり等、花は枯れてこそ美しいものであった

九井一「試しに…廓詞で口説いてくれよ」

美涼が花魁の格好をしているので九井は本人に提案した

『……いいよ。これも仕事だからね。』

躊躇いながらも任務と割り切っている美涼は勇気を出した

『……主(ぬし)様に会えない寂しさで、気が狂いそうでありんした』

美涼は恥らいながらも言葉を放った

九井一「美涼が居ないと俺も寂しいよ」

掛け合わせるようにして九井も言葉を紡いだ

『主様のこと……お慕いしておりんす』

何

めっちゃ…

恥ずかしい

九井一「嘘って分かってるけど…

美涼の口から言われると素直に嬉しいよ」

そう言って淡く微笑んだ

九井一「もしお前がホントに遊女だったら…」

"今すぐにでも身請(みう)けしてるよ"

これが現実であれば金で解決していると告げた