闇夜に咲く一輪の花３【梵天】

sentimenti veri ページ47

美涼の直属の部下は明司に用があって自室を訪れていた





明司武臣「ちょっと待て」





部屋を出る前に呼び止められてしまった





「なんでしょうか？」





何か伝え忘れがあったのかと思っていた





明司武臣「えらく美涼に心酔してるよな」





ソファに腰掛けたまま明司は煙草を取り出した





明司武臣「何か企んでいるのか？」





そう言って煙草に火をつけた





「とんでもないです」





質問に対して即答で答えた





「美涼様のことは＿」






"お慕いしております"






直属の部下は堂々と言い放った





「ですが…立場は弁(わきま)えてます」





少し俯いて言った





「あの方には自分よりも見合う方がいます」





窓辺を見つめて儚く告げた





「俺はあの女(ひと)と同じ時間を過ごせる時が好きなんです」





美涼の傍に仕える事が自分の使命だと感じているようだ





「それだけで幸せです」





明司と視線を合わせて言った





「他に…」






"何も望むことはありません"






貼り付けたような笑顔で言ったその言葉は本当に本心であった

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