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その日は一日がひどく長かった。
早く帰らな、って思いばっかりが募って
いつもと同じ時間しか働いてへんはずやのに
いつもならせえへんようなミスもしてしまって
定時に帰りたかったのに結局残業せなあかんくなってしもた。
不運は重なるもので、こうゆうときに限って電車は遅延してるし
家の鍵なくしたと思ってカバンひっくり返したのにポケットから出てくるし。
やっと家に着いた頃にはもう疲れ果ててしもて
頭もほとんど機能してなくて、やっぱり今朝の出来事は夢やったんちゃうかなーって気になったけど
ドアを開けたら、「おかえり！」って部屋の奥からAの声が聞こえて、
固まってしもてた脳ミソが一気に動き出した。
「遅かったねー」
なんて言いながらリビングの扉の向こうから出てきたAが
たったの数時間ぶりやのにあまりにも懐かしくて。
疲れ果てた目に、身体に、心に
その存在はひどく優しく沁みた。
現実味のない足取りで、Aがふわりと目の前にやってきたとき
そうなるのが当たり前だったみたいに涙がこぼれた。
「え！？忠義！？」
Aが慌てて声を上げた。
あわあわと戸惑っているAの姿はにじんでよく見えない。
こんな訳もわからないタイミングで泣き出す自分が情けなくて
思わずこぼれそうになったため息は、頬に触れたAの掌で消えた。
「相変わらず泣き虫だね」
仕方ない、とでも言うような呆れた声は
慈しみに溢れていた。
気丈で、負けず嫌いなで、いつも明るいAは
一度だって俺の前で涙を見せんかった。
そんなAと反対で、映画とかなんかで感動したり
悲しいことがあったりするとすぐにボロボロ泣いてしまう俺を
Aはいつもこうやって笑って、そのあと決まって愛おしそうに目を細めて
細い指先と温かい掌で涙を掬い取った。
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ふ う せ ん 。(プロフ) - はじめまして。読み終わった時、涙がポロポロ出てきました。叶わないヒロインと大倉くんの恋が切なくて....タイトル、おまけのタイトルの意味も感動しました。茜音さん大好きです。 (2017年9月6日 22時) (
レス) id: 7c89de28d9 (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - こんにちは。私は占ツクの作品を読んで、涙がとまらなくなってしまったのはこの作品が初めてです。素敵なお話しで…また涙がこぼれ落ちそうになります笑これからも茜音さんを応援しています！ (2017年9月3日 15時) (レス) id: 88a3919034 (このIDを非表示/違反報告)
hinami(プロフ) - ほんとに感動して泣いちゃいました！素敵なお話しをいつも書かれてて素敵です。 (2017年2月28日 0時) (レス) id: d98e128aed (このIDを非表示/違反報告)
かい(プロフ) - こんばんわ。初めまして。こちらの作品読ませていただき、ボロボロに泣いてしまいました。いろんな事を考えさせられる暖かい気持ちになれてとても素敵な作品だと思います。 (2017年2月27日 23時) (レス) id: 47a2a99d86 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 気がついたら涙が流れてました。電車の中だというのに周りを気にせず泣いていました。皆が優しくて、だからこそ切なくて。ハッピーエンドじゃないのに暖かい気持ちになる、とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2017年2月27日 22時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茜音
| 作成日時：2017年1月21日 0時
