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まさか、と思った。
そんな都合のいいこと、あるわけないと思った。
やけど、力を込めて自分の顔を引っ叩いてみても
「いったぁ・・・」
普通にめっちゃ痛くて、叩いたばっかのその手で擦る始末。
「ね、夢じゃないでしょ？」
だいじょーぶ？って身を乗り出して俺のよりずっと小さい手で頬を撫でてくれるA。
なんで死んだAがここにいるのか、とか
そもそもそんなことがあり得るのか、とか
考えなあかんことはいっぱいあるはずなんやけど
あいたくてあいたくて仕方なかったひとが、すぐここにいる。
その嬉しさが勝ってしまって、俺の頬に触れてるAの手を引っ張って、
力いっぱいに華奢な身体を抱きしめた。
Aは「わっ」て小さく声を上げた後、自分からすり寄るようにして俺に身体を預けた。
ちっとも変わってない肩幅とか、薄っぺらい背中とか。
もしかしたら、Aが死んだっていうのが悪い夢で
現実は何も変わってないんちゃうんか、って思えてしまうほど
腕の中のAはそのまんまで。
『嫌な夢見てん』って、笑いながらAに話そうとしたところではたと気付く。
Aの匂いがせえへん。
Aは香水とかつけてなかったけど、その髪に、首筋に鼻を埋めれば
いつだって花みたいに甘くて柔らかい匂いがした。
その匂いはいつだって俺を落ち着かせてくれて
抱きしめるたびに目一杯胸に吸い込む俺を見て、Aは「ほんとに犬みたい」っていつも笑ってた。
見た目や抱きしめた感触はそのままやのに、ただその匂いがしないだけで
Aの死はひどく現実味を帯びて、置いてけぼりの心を突き刺す。
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ふ う せ ん 。(プロフ) - はじめまして。読み終わった時、涙がポロポロ出てきました。叶わないヒロインと大倉くんの恋が切なくて....タイトル、おまけのタイトルの意味も感動しました。茜音さん大好きです。 (2017年9月6日 22時) (
レス) id: 7c89de28d9 (このIDを非表示/違反報告)
寧々(プロフ) - こんにちは。私は占ツクの作品を読んで、涙がとまらなくなってしまったのはこの作品が初めてです。素敵なお話しで…また涙がこぼれ落ちそうになります笑これからも茜音さんを応援しています！ (2017年9月3日 15時) (レス) id: 88a3919034 (このIDを非表示/違反報告)
hinami(プロフ) - ほんとに感動して泣いちゃいました！素敵なお話しをいつも書かれてて素敵です。 (2017年2月28日 0時) (レス) id: d98e128aed (このIDを非表示/違反報告)
かい(プロフ) - こんばんわ。初めまして。こちらの作品読ませていただき、ボロボロに泣いてしまいました。いろんな事を考えさせられる暖かい気持ちになれてとても素敵な作品だと思います。 (2017年2月27日 23時) (レス) id: 47a2a99d86 (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - 気がついたら涙が流れてました。電車の中だというのに周りを気にせず泣いていました。皆が優しくて、だからこそ切なくて。ハッピーエンドじゃないのに暖かい気持ちになる、とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2017年2月27日 22時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茜音
| 作成日時：2017年1月21日 0時
