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試合は無事に終わった
日本が勝ったのだ
、
、
ーー夕方
河口湖スポーツセンター
外では
必死になって一星を止めるナミの姿があった「ナミさん、だめですって！」
「俺、行かないと…」
一星はナミの手を力づくで引き離す
ぐぐぐっ、と
ナミの手はなかなか離れない「ナミさん…」
「どこ行くんだ一星！」
「まさか落とし前もつけずに消えるつもりじゃないだろうな」
明日人と灰崎がやってくる
一星はそんな彼らを見上げた
「俺は…長い夢を見ていたみたいだ。でも、自分がやってきたことを忘れたわけじゃない」
一星はナミの顔を見た
頬の傷はまだ治ってない
首筋だって、ひどい状況だ。他にもたくさんひどいことをした「俺は貴女をいっぱい傷つけた。ごめんなさい…」
「君たちの前から消えるよ」
一星はそう呟く
けど、目の前の彼女は慌てて俺の腕を掴む
ブンブン、と顔をふる「ナミさん…」
「どうして止めるんですか…」
一星は悲しんでいた
俺を止めたっていいことなんて何もない
でもナミのほうも悲しんでいた『ばいばい、は、やだ…』
「ナミちゃんを泣かせないでくれるかな？」
「それに、それは都合が良すぎるんじゃないのかい？」
野坂がそっと声をかける「君はチームに多大なる迷惑をかけた。その責任はとってもらうよ」
「まあ、正直、僕は君に興味があるんだ。君は僕たちを罠に嵌めるためにフィールドの前選手のデータを把握していた。その分析能力は並大抵なものじゃない。チームいちと言えるね」
野坂のその言葉に
一星は目をパチクリした「というわけで…」
「僕は君を戦術の皇帝の参謀役としてスカウトしたい」
野坂はまっすぐ一星を見つめた
「ええ！？」と灰崎と明日人が驚く
「大丈夫！お前ならやれる！」
円堂の声が響いた
そこにはみんながいた
「お前は自分との戦いに勝てたんだ。自分に勝てた。自分を信じろ」
円堂はニッ、と笑った
一星は目を輝かせる
ナミはそっと彼から手を離した
「じゃっ、お好み焼きでも行くか」
ヒロトが階段を降りて、やってくる
「は？ラーメンだろ」と灰崎が好みを入れる
「カレーは？」と明日人「さっき食べただろ」
一星はどこか泣きそうな顔で笑った
僕…ここにいていいんですね
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作者名：真灯 | 作成日時：2024年2月29日 19時
