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ナミや一星はその特訓を知らなかった
『(まさか、グリットオメガの特訓だったなんて…)』
ウズベキスタンの選手が竜巻の渦によって持ち上げられる
ナミは大きく目を見開いた
選手たちが次々に地面に落ちる
この光景をナミは知っている
「ふっ」
野坂はボールを蹴る
緩やかにそれはゴールへと入っていった
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「どういうことだ野坂」
灰崎は野坂に近づく
「悪を成敗するためにちょっとズルい技を使わせてもらったよ」
野坂は飄々とそう言う
「汚いぞ…こんな技を…」
ウズベキスタンの選手が唸る
ははは、と野坂は怖い笑みを浮かべる
「僕は戦術の皇帝。誰であろうと叩きのめす」
野坂は彼らを見下ろした
「審判！」と反応するも、前半と人が変わっていたため、グリットオメガを否定するものは誰1人いない
「そういえば、君たちには言ってなかったね」
野坂は目の前で手を広げる
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「ーー僕はこの手で世界を変える」
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「決め台詞一緒じゃねぇか」と灰崎が突っ込んだ
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『っ…げほっ…』
ナミは口を手で押さえた
『(グリットオメガ…せいしょうのみんながああなったわざ…こんかいのはちがうのに…むね、いたい…)』
「大丈夫ナミ？」とすぐに明日人が心配してくれる
ナミの体は震えていた
「そういえばナミにとってグリットオメガは…」
明日人はそれに気づいた
まだ明かされていないアレスのときのトラウマ
野坂はそんなナミに気づいた
「ナミちゃん、無理しないで。君にこの技は見せるべきじゃないってわかってた…けど、許してほしい。こうでもしなきゃ、世界は変わらない」
野坂の力強く眼差しがナミに向く
「もし気分が悪かったら休むといい。これ以上のことがあるかもしれないからね…」
野坂は何かを企んでいた
チラリ、と一星を見つめたのをナミは見逃さない
ナミは口元を拭う
『(だいじょうぶ)』
自分の持ち場へと戻っていった
「…」
野坂はそんなナミに目を細めた
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作者名：真灯 | 作成日時：2024年2月29日 19時
