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スポーツセンターに着いたご一行
灰崎は眠っているナミを抱き抱えバスを降りた「こいつ軽すぎんだろ…」
「灰崎…」
西蔭はそっと前へ出る
「ナミさんは、俺に任せてください」
「(いつまでも灰崎のところにナミさんを置いておくわけにはいかない。鬼道さんに頼まれたんだ。それに灰崎はナミさんのことを特に気にかけている)」
西蔭は真剣な口調で言った
「は？」と灰崎はイラつく「なんでテメェに」
「鬼道さんに頼まれているので。ーー彼女を守ってほしい、と」
西蔭は灰崎の目を見つめた
「なんで鬼道が…」と灰崎は不屈そうだ
「(俺だって…ナミを守れるのに…なぜ、俺に言わなかった…鬼道…)」
「灰崎」
西蔭は彼の名を呼ぶ
そして両腕を前に出した
ナミを渡せと言っている
「チッ」と灰崎は舌打ちをした
「悪いが、今だけは譲れねぇ。ナミを部屋まで連れていく。それだけだ」
灰崎はそう言った
それ以外のことはしない
だから自分に任せてくれ、と
「…わかった」
西蔭は何かを言おうとしたが、
その誠実な灰崎の眼差しに小さく頷いた
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ナミの部屋はこんなに静かだっただろうか「お前が泣いて、いろんな連中の部屋に上がり込むのも無理ねぇな…」
灰崎はそっとナミをベッドに寝かせる
「(気持ちよさそうにねやがって…でも泣いたあとがくっきり見える)」
「ナミ…」
灰崎は名をつぶやく
そしてすくうようにナミの手を握った
願うように自分の顔に押し付ける
「んな、無茶ばっかしやがって…いつか、お前、いなくなりそうで怖い…頼む。それだけはやめてくれ」
灰崎はぎゅっ、と目を瞑った
するとーー
『…』
ナミはパチっ、と目を覚ました
それからニコッと笑い
髪の後ろから
彼を抱きしめた
「ナミ…！？」
灰崎は驚いたように目を丸くする
ナミはかまわずスリスリと灰崎に甘える『くまちゃ…』
「くま…っておい。前の名残じゃねーか。まったく…お前は…」
灰崎の眉間がどこかやわらかくなった
「(そうだな…お前はいなくならない。きっと…)」
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作者名：真灯 | 作成日時：2024年2月29日 19時
