僕の天使さんへ、 ページ37
…互いの間に沈黙が流れる。
どうやら彼が凍らせていたらしいこの空間では、少し肌寒くて、吐いた息が白く見える。
「…Grazie、2人とも。ちょっと下がってて。」
「はぁい了解了解!でも俺らのスタンドの持続力、そこまでないから気持ち早くで解決しなよー!」
「この空間の酸素もそこまで長くは持たないだろう。手早くな。」
そう言って2人が下がったのを確認してから、足を進める。一歩一歩確実に、距離を詰める。
目の前にいる僕の天使さんは怯えず絶望せずに、静かな怒りを抱いて、僕を目線で射るように見る。酸素があって充分に呼吸が出来たら怒鳴り散らしてたりして。
「…ギアッチョ、だよね?」
「…だから、ヒューッ、なん、だ、」
酸素が足りないからか苦しそうに呼吸をしながらも、その瞳から氷のような冷たさは消えはしない。
…ああ、それでこそ。
「気高い、僕の氷の天使さんだ。」
「っ…、?」
意識が朦朧としているからか、聞き取れなかったみたいで彼は怪訝そうな顔をする。
…これまで相手を「恐れ」させてみたけど。こんなに余裕があるなら別の方法もいいかもしれない。
「フィーリング・メイカー。」
僕の後ろから現れた半身に彼は目を丸くする。
それも一瞬のこと。直ぐに警戒姿勢を整えて、何時でも反撃できるように気を研ぎ澄ませ始めた。
…ああ、それでこそ。
「落とし」がいがある。
「ギアッチョ。」
「…ッ、ヒューッ、」
「ギアッチョ。」
「ッ、!!」
歩みを進める度に、空気が薄くなる感覚。
少しずつ、息が苦しくなる。
近づく僕に目を見開いた彼の前に跪き、ぐっ、と抱きしめた。
「冷たいなぁ…」
「ッ、なに、ヒューッ、…して」
「んー?一目見て、君を抱きしめたくなったから、そうした。」
「は、?」
もう力も充分に出ないらしい体に力を入れて今できる限りの精一杯の抵抗を見せるギアッチョ。
それに対抗するように、尚更強く抱き寄せた。
「あはは、本当に冷たいなあ。凍えちゃいそうだ。…でも、君に、君の為だけに激しく拍動するこの心臓ごと氷で閉じ込められてしまうのなら…それでもいいや。」
「ッ、ヒューッ、ん、だと、」
あーちょっとヤンデレじみてしまった。でも仕方ないよね、事実だし。
「その氷みたいに澄んだ鋭い眼光に心ごと射抜かれてしまって…もし僕が死んだら君は故郷の天国に僕も連れていってくれるかな。
…僕の、天使さん」
…あまりにも酷い独りよがりだ。
それでも感情を弄られた彼には甘い猛毒となる。
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凶羅(プロフ) - マンゴスチンさん» やったぁぁぁあ!!!ありがとうございます! (2019年3月7日 17時) (レス) id: ca5c371e19 (このIDを非表示/違反報告)
マンゴスチン(プロフ) - 凶羅さん» えへへ初コメント共にお褒めいただきありがとうございます!!とても分かりますギアッチョ可愛い!!VSギアッチョの話書いてて楽しかったです!!ではギアッチョとの絡みが沢山書けるように頑張りますね! (2019年3月6日 22時) (レス) id: 10c8e330c1 (このIDを非表示/違反報告)
凶羅(プロフ) - ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!ギアッチョ可愛すぎて辛い!更新楽しみにしてます!主にギアッチョとの絡みを!推しがギアッチョ故に悶え死にそうでしたw (2019年3月4日 0時) (レス) id: ca5c371e19 (このIDを非表示/違反報告)
マンゴスチン(プロフ) - 操菜 荘椏さん» ありがとうございます!頑張ります!\(*・∀・*)/ (2018年12月24日 23時) (レス) id: 10c8e330c1 (このIDを非表示/違反報告)
操菜 荘椏(プロフ) - 了解です!応援してます! (2018年12月24日 22時) (レス) id: 973a3c6c76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マンゴスチン | 作成日時:2018年4月5日 13時