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二十五 ページ27

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この雨の中、他の三人は風邪を引いていないだろうか。窓の外を眺めていると、今剣が部屋に入ってきた。そういえば話したいことがあると云っていた。


「今剣、如何しました?」


「……あるじさま」


今剣は此方と目を合わせようとしない。口を開いても肝心の内容を喋られないようで、結局口を閉じる。それの繰り返しだ。


「今剣、話さなければ判りません。怒られるようなことをしたわけではありませんよね?」


今剣はこくんと頷いた。


「じゃあ話してちょうだい。大丈夫ですよ」


「……ぼく」


今剣は私の目をまっすぐ見た。その目に迷いは一切ない。


「ぼく、ほんまるにかえったらしゅぎょうにでたいんです」


「……修行、に?」


なんで、と聞こうとするも、上手く言葉が出ない。


「だめですか?」


今剣が修行に出て何を見て、どう成長するのかを他の審神者から聞いたことがあった。それを聞いて以来、私は今剣を修行に出すのを敢えて避けていた。


真逆、本人から相談される日が来るだなんて。


「理由は何でしょうか。何か重要なことでも……」


「きょう、ぼくはてきからあるじさまをおまもりしました」


「確かにそうですね。助かりました」


そのままでも十分強い。今剣は本丸の中でも古株なんだから。


「もっと、つよくなりたいです。たんとうだから、そのりゆうでぼくだけたたかわせてもらえないときがおおいです。しゅぎょうにでて、つよくなったら、そういうことはなくなりますよね?」


純粋で、真っ当な意見に思わず頷きたくなる。でも、今剣は修行に出てしまったら……。


「……ダメです。修行は行かせられません」


「どうしてですか?」


「それは……」


返答に困る私を今剣は悲しそうに見ていた。


「おねがいします。かんがえておいてくれませんか。……きょうはもうかえります」


今剣は来たときと同じように扉を開け、パタンと閉じた。静寂に包まれた空間に残された私は呆然と扉を見つめる。


「……修行、か」


私が考えても結果は変わらないだろうと今剣は察している筈だ。それでも彼はお願いした。それぐらい必死というわけだ。


「……成長する機会を折る私って本当に最低」


吐き捨てるように呟いた。

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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!続編でもぜひぜひよろしくお願いします……! (2018年3月25日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます!とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します! (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……!! (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……! いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました! 更新がんばります! (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 11時

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