三十五 ページ38
.
「あ、徳田先せ……徳田さん!」
中島は図書館にいるときのように徳田先生と呼ぼうとしたが止めた。後で太宰と名乗る黒髪の男に「なぜ先生と呼ぶのか」問い詰められたら面倒だからだ。
「……如何いうこと」
応接スペースに中島、江戸川、新美、宮沢がいることを確認し、徳田は戸惑いの表情を浮かべる。国木田と太宰は未だに口喧嘩が終わっていないようで、此方に意識は向いていなかった。
「司書さんに云われて此処に来たの?」
新美が小さい声で聞くと、徳田は軽く頷いた。
「おかしな所だね、此処。太宰治に国木田。聞き慣れた名前ばっかりだ」
「私と同じ名前の方もいるようです。ほら、彼の白い髪の……」
中島は白髪の少年を指さす。彼は太宰と国木田を宥めようと必死だ。
「……苦労人って感じがするね」
「ワタクシと同じく江戸川乱歩という方もいるのですよ。おまけに名探偵だそうで」
江戸川はさも可笑しそうに笑う。
「まるで別世界みたいだよね。司書さんって此処に長くいたんだ……」
宮沢は双眼鏡を握る手を見下ろす。他のみんなも見つかるかなあと呟いていた。
「……彼の人なら直ぐに見つけるんじゃないかな」
少し、そんな気がした。
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいねこ(プロフ) - 更新はこれで終わりなのですか?とても面白かったので再開して頂けたら嬉しいです! (2020年8月23日 11時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 涼花凛娘さん» コメントありがとうございます……!そのようなお言葉が頂けるとは……恐縮です。これからもがんばります! (2018年3月16日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
涼花凛娘(プロフ) - とても面白かったです!文ストと文アルのクロスオーバーは最近増えていますが、どの作品とも似ていない…といいますか。とにかく素晴らしいです!此れからも頑張ってくださいね! (2018年3月15日 19時) (レス) id: ff189753ce (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 巫子さん» ありがとうございます! 文アルと文ストのクロスオーバーを書くにあたって絶対会わせたかった二人なので私も書けて楽しいです! 更新がんばります! (2018年3月14日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - 太宰さんとオダサク!!これからの展開が楽しみです!更新待ってます。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: c9541627c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 17時