三十三 ページ36
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「津島……? 聞かぬ名だな」
「当たり前でしょ。此処に来たの初めてなんだから」
「おいだざ……津島。早く片付けるぞ」
あれ、と云いつつ侵蝕者を見やる。
「えーと。不調の獣が三体、か」
そう呟いた途端、太宰の姿は一瞬で消え、不調の獣を一体仕留めていた。悲鳴にも似た声が侵蝕者から漏れる。
「こりゃあ一人でも十分か」
安吾は近くの壁にもたれ、太宰の様子を見守っていた。万が一に備え、すぐに戦えるようにはしている。
「ちょっ、此方に全部任せる心算かよ!?」
鎌を振り回し、次々と侵蝕者を倒していく。少しの洋墨がその場には残された。ふと、きらりと光る何かを見つけ、太宰はその場にしゃがみこみ、落ちていた物を拾った。
「想魂……」
「一応拾っておくか。図書館には腐るほどあるけどな」
安吾は芥川がいる方へ振り向き、「あんたはこれから如何するんだ?」と聞いた。
「……何もせぬ。それよりも早く去れ、僕の前にずっといるならば殺す」
「おーおー、若者は元気があるなぁ。じゃあさっさと退散させてもらうぜ」
建物の壁を蹴り、その勢いで屋根まで上る。ひらりと跳ぶと太宰と安吾の姿はすぐに見えなくなった。
「先輩! 黒とか……あれ? 先刻までいた敵は……」
遅れて到着してきた樋口が辺りを見回す。後ろには広津、銀、立原が控えていた。
「本部に帰るぞ。報告せねばならないことがある」
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あいねこ(プロフ) - 更新はこれで終わりなのですか?とても面白かったので再開して頂けたら嬉しいです! (2020年8月23日 11時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 涼花凛娘さん» コメントありがとうございます……!そのようなお言葉が頂けるとは……恐縮です。これからもがんばります! (2018年3月16日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
涼花凛娘(プロフ) - とても面白かったです!文ストと文アルのクロスオーバーは最近増えていますが、どの作品とも似ていない…といいますか。とにかく素晴らしいです!此れからも頑張ってくださいね! (2018年3月15日 19時) (レス) id: ff189753ce (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 巫子さん» ありがとうございます! 文アルと文ストのクロスオーバーを書くにあたって絶対会わせたかった二人なので私も書けて楽しいです! 更新がんばります! (2018年3月14日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - 太宰さんとオダサク!!これからの展開が楽しみです!更新待ってます。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: c9541627c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 17時