二十 ページ23
.
ポートマフィアの者だけが使える駐車場の隅でこそこそと先生と話をしていた。ちゃんとしておかないと南吉先生辺りが暴走しそうだからだ。
「一応先生方にとっては敵の本陣に乗り込むようなものですから注意してくださいね。南吉先生と賢治先生は後部座席に座って隠れていてください。敦先生は運転席に座って待っててください」
「え? 助手席に座っていた方がいいのでは?」
「運転席にいれば敦先生の車だと勘違いする人が出るので。この車が私のだと気づく人なんていませんよ」
バンバンとボンネットを叩く。南吉先生と賢治先生は既に乗り込み、ひそひそと内緒話をしていた。二人にとってはかくれんぼ程度のものなのだろう。
「では行ってきます。早めに帰りますね」
本部内は少し騒がしかった。盗み聞きすると子供二人がいなくなっただの銃を乱射されただの南吉先生たちの噂が絶えない。
「これはまずいな……」
然し、他の先生の話題が出ないのは幸運だった。あの谷崎先生も乱歩先生も隠密行動をとれているらしい。
他の構成員からお盆を借り、首領や幹部に出すお茶を人数分とって廊下を歩いた。
不気味なほどに静かで、人の気配がない。幽霊でも出そうだ。
つきあたりに行くと、微かな光が見えた。重厚な扉をノックし、返事を待つ。どうぞ、と首領の声がした。
「失礼します。お茶を……」
扉を開けた私が見たのは南吉先生と賢治先生が映った監視カメラの映像が流れるスクリーンだった。
「A君? 如何したんだい?」
「……いえ」
お茶を出す手が少し震える。私がいても会議を進める心算らしく、首領は「この子供たちは何者かな?」と中原幹部と尾崎幹部に聞いた。
「異能力者かのう。本が銃に変わっておる。普通の者ではないじゃろう」
「それにあの化け物を倒したんです。きっと対処法や正体を知っているかと」
その子供を匿い、尚且つ化け物の正体を知っている人物が目の前にいることをご存知だろうか。
スクリーンを見る。不調の獣が二体。それを南吉先生と賢治先生は躊躇いなく撃っていた。
「A君はどう思う?」
首領が問いた。
146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいねこ(プロフ) - 更新はこれで終わりなのですか?とても面白かったので再開して頂けたら嬉しいです! (2020年8月23日 11時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 涼花凛娘さん» コメントありがとうございます……!そのようなお言葉が頂けるとは……恐縮です。これからもがんばります! (2018年3月16日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
涼花凛娘(プロフ) - とても面白かったです!文ストと文アルのクロスオーバーは最近増えていますが、どの作品とも似ていない…といいますか。とにかく素晴らしいです!此れからも頑張ってくださいね! (2018年3月15日 19時) (レス) id: ff189753ce (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 巫子さん» ありがとうございます! 文アルと文ストのクロスオーバーを書くにあたって絶対会わせたかった二人なので私も書けて楽しいです! 更新がんばります! (2018年3月14日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
巫子(プロフ) - 太宰さんとオダサク!!これからの展開が楽しみです!更新待ってます。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: c9541627c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:織川 | 作成日時:2018年2月25日 17時