平行する文豪の世界【文豪とアルケミスト】【文豪ストレイドッグス】

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「館長は皆さんに五つの注意するべきことをあげました。その理由、説明しましょう」


道行く人の中に見知った顔がいないか確かめ乍ら、そう話す。


「名前を云ってはいけないのは……此処、ヨコハマには先生方と同姓同名の方がいるからだと思います」


「同姓同名の……？」


半信半疑といった様子で聞き返す敦先生の言葉に頷く。


「……森鴎外、芥川龍之介、泉鏡花、太宰治、中原中也、尾崎紅葉、国木田独歩……勿論、中島敦も」


二つ目、図書館について話すなというのは先生方のことだろうか。転生や錬金術など。確かに話したらいけないことだらけだ。


「三つ目は……まぁ説明しなくてもいいですね。で、四つ目と五つ目なんですが……。まあポートマフィアは余所者に厳しいので……特に武器を持つ先生方なら尚更。探偵社に匿ってもらった方が安全だからでしょう」


「……その話を聞く限りだとポートマフィアって処は矢張りかなり危険な組織なんですね。早く見つけなければ……」


どうやら敦先生の不安を煽ってしまったらしい。申し訳ないことをした。


「……ん？」


小さい子供が二人。一人は双眼鏡を、もう一人は狐の人形を持っている。


「あれって……南吉先生と賢治先生？」


距離にして数十メートル。声をかけようにも公共の場で大声を出すのは些かよろしくない。


二人はどんどん前に進んでいき、あっという間に人混みに紛れてしまった。


「まるで何かから逃げているみたいですね」


敦先生がぼそりと呟く。そして私は黒スーツを着た男性が数人、二人を追うようにして人混みに突っ込んでいくのが見えた。


「……ポートマフィアじゃないですか」


ポートマフィアの構成員が数人。南吉先生と賢治先生を追いかけていた。

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