四十七 ページ10
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検非違使がいる理由なんてどうでもいい。一刻も早くこの場を立ち去りたかった。然し機動力で勝るわけがない。唯一夜戦に応じることができる今剣は怪我を負い、苦悶の表情を浮かべて浅い呼吸を繰り返すだけだ。岩融に背負われていなければ何もできないだろう。
「……如何しますか」
「如何するって……逃げるしかないだろう。俺たちは短刀や脇差と違って夜戦は苦手だからな」
打刀もいないこのメンバーでできることとはなんだろう。考えあぐねていると槍の一体が動き出した。
「主!」
速かった。槍が顔を掠め、大きく振るわれる。間一髪のところで避けたが転んでしまった。
「俺たちでどうにかするしかないだろうな。鶴丸と俺に任せてくれ。足止めぐらいはできるさ。岩融は主と共に逃げろ」
「然し……!」
相手は検非違使。槍六体だ。二振だけで太刀打ちできる相手ではない。
――――このままでは折れてしまう。
「ぬしさま!?」
聞き慣れた声が響く。だがこの状況を打破できる者ではない。
「小狐丸さん……。石切丸さんも……」
太刀と大太刀。人数は増えたが夜戦に置いては圧倒的に不利だ。
せめて短刀さえいれば。
絶望的な状況に追い込まれ、仲間を数人捨てて逃げる手段しか残されていない。
折れるのだけは……それだけは嫌だ。此処で皆を捨てたら一生後悔する。
「誰か……」
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時