【はたらく細胞】にーちゃんおたしゅけコール【B細胞】

＊2、にーちゃんは優しい ページ2

にーちゃんと一緒に資料を漁る。これも楽しい時間のひとつだ。

今はB型のインフルエンザ用の抗体の資料を探している。


あちらこちらのファイルを広げ、本のページをめくる。

会話は静かだが、ものを広げる音はとっても賑やか。

ただでさえ喋るのが苦手な私にとってこのモノの音はおいしくご飯を食べるためのスパイスも同然。



いくらにーちゃんがすきでも、静かで気まずいのは嫌だから。

わざとらしく音をたてるんだ。



『…ぁ…あった…』


分厚いファイルを握り、小声で発する発見コール。

だが、たてていた音のせいで小さな声はかき消された。



でもにーちゃんはすごいから、私の声を聞き取ってる。


「お、見つけた？さすがA！さ、抗体作るぞ！」


私の頭をポンポンとたたき、誉め言葉をひとつプレゼントするにーちゃん。

完全なにーちゃんっ子である私にとってこのプレゼントは何より嬉しく、思わず頬が緩んだ。



『…にーちゃん、手伝う…！』



迷惑かもしれないけど、にーちゃんのプレゼントのお返しに、

私の労働力を。




このあとににーちゃんは私に、爽やかな笑顔で「ありがとう！」って言うんだ。

うん、にーちゃんはとっても優しい。

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