第七十七話 ~那奈side~ ページ40
はーちゃんと暁ちゃんだけが知るはずの花畑。
ううん、一度だけ来たことがあったけど。
そこは僕ちゃんがいるのにちょうどいい。
静かで何も邪魔がないから。
那奈「暁ちゃん――――」
一人泣きじゃくっていた。
暁ちゃんと出会う頃の僕ちゃんみたいに。
今僕ちゃんが生きているのは暁ちゃんのおかげ。
那奈「暁ちゃんがいなくなるのはいやだよぅ。ずっと一緒にいたかったのにっ」
膝を抱えてうずくまる僕ちゃん。
何かを置くような音が微かにした。
次の瞬間には温もりに包まれる。
疾風「見つけたよ、那奈」
那奈「はーちゃん?ここ、わかっちゃったんだ」
疾風「俺と暁月の特別な場所だったんだけどね。何でかここに来なくちゃいけない気がした」
抱き締められている。
気付いた時には僕ちゃんは腕を回していた。
那奈「はーちゃん、僕ちゃんは暁ちゃんと一緒にいたかったよっ」
疾風「うん」
那奈「暁ちゃんが助けてくれなかったら僕ちゃんここにいないもん。なのに、何もできなかったっ!」
強く抱き締められる感触。
顔を上げたら唇を噛み締めるはーちゃん。
疾風「俺もあの時、何もできなかった。暁月が何をしたいのか、本当は何を望んでいたのか、ちょっとだけわかっていたはずなのに」
那奈「はーちゃん――――」
疾風「でもまだいなくなったわけじゃないよ、暁月は」
那奈「え?」
強い希望に満ちた瞳。
僕ちゃんから離れていく温もり。
差し出される手。
疾風「一緒に連れ戻しに行こうよ、那奈」
輝くような笑顔でそう言われて。
差し出される手に自分の手を重ねる。
はーちゃんから差し出された鎌を手に取る。
那奈「うんっ」
大好きな暁ちゃん、気付いてる?
君の親友はとってもすごいよ。
だから僕ははーちゃんに希望を託します。
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卯月ユウ(プロフ) - 光さん» コメントありがとうございます!頑張らせていただきます! (2013年10月14日 0時) (レス) id: 52f94a8716 (このIDを非表示/違反報告)
光(プロフ) - すごくドキドキの展開で面白いです!これからも更新頑張って下さいね (2013年10月13日 23時) (レス) id: e9e14860b6 (このIDを非表示/違反報告)
卯月ユウ(プロフ) - レミリアさん» ありがとうございます!頑張らせていただきます! (2013年10月7日 4時) (レス) id: 52f94a8716 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア - 1話から読み進めました。暁月くん、いい人ですね。素直じゃないだけで思いやりがあって。私のクラスの人とは大違いですよww続き頑張って下さい♪ (2013年10月6日 18時) (レス) id: ccbb96b71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:卯月ユウ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uzuki
作成日時:2013年9月15日 19時