十二話 ページ12
翌日。欠伸をしつつ教室へと向かうと騒がしい声が聞こえた。俺のクラスからだ。普段から騒がしいのだが今日は特別だ。不思議に感じ思わず早歩きする。
扉が閉まっているにも関わらずこの騒音。驚きが隠せない。扉を開けるのを億劫に感じたのだが仕方なく教室へ入ることにした。
扉に手に掛けたところで教室内にいる桃の一際大きい声が耳に届く。
｢叶とデートしたってまじ！？｣
朝からなんの冗談だ。
怒りに任せ大きな音を立てながら勢い良く扉を開ける。その瞬間、転校初日を思い出すほどに一斉に降り注ぐ視線。彼らは口々に｢あ…｣と声を漏らす。
しかし誤解を解く為にはここで怯んではいられない。多くの視線に負けじと俺は声を張り上げた。
｢べ、別に俺は｣
デートのつもりじゃない。そう否定してやろうと思ったのに。朝からパワフルなクラスメイト達には勝てず。
｢朝から幸が幸せそうでさ！｣
｢私絶対脈アリだと思ってたんだよね！｣
｢幸せにしてやってくれ！｣
一気に大勢から押しかけられ目が回る。落ち着けお前ら。そう声を上げても大興奮の彼らには届かない。
話の通じなさに困り果てていると、俺と同じように困りつつも笑っている幸が視界に入る。バチリと目が合った瞬間彼は俺に向けて手を振った。
軽く手を振り返せば俺を取り巻く奴らを押し退け幸の元へ向かう。申し訳無さそうな笑みを浮かべつつ幸はおはよう、と俺の肩を叩いた。
｢なんだよあいつら｣
｢いや、俺は遊んだとしか言ってないんだけどさ｣
若干嬉しそうなのが気になるのだが、尚も困ったように眉を下げて｢いっつもそうなんだ｣と付け足した。どうやら幸がクラスメイトに嘘をついたのではなく、彼らのただの早とちりというわけらしい。
どっと疲れが出て溜息が漏れる。それは幸も同じなようで。同時に聞こえた彼の溜息に二人で顔を見合わせクスクスと笑ったところで、聞き慣れない声が扉の方から聞こえた。
｢幸！｣
声の主のほうへ視線を向けると、小柄で可愛らしい女子生徒が立っていた。しっかりと切りそろえられた短めの前髪を揺らし、彼女は笑みの溢れる瞳で幸を見つめる。
瞬間、常に輝く幸の表情が一際明るくなった。
幸を呼んだその女子生徒は柔和な笑顔で幸に手招きをする。にこりと笑い幸は彼女の元へ駆け寄った。
｢
｢数学の教科書忘れちゃった！貸してもらってもいい？｣
｢いいよいいよ！ ちょいまちー｣
女子生徒は日和というらしい。
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青猫(プロフ) - 全然待ちますよ！作者さんのペースで大丈夫です！( ´▽｀) (2021年7月23日 14時) (
レス) id: fe631de70d (このIDを非表示/違反報告)
はたらま(プロフ) - 青猫さん» 更新の度コメント下さり有難う御座います！更新が遅くて本当に申し訳御座いません。今後少しずつ更新頻度を上げていこうと思っておりますので、気長にお待ち頂けると幸いで御座います。 (2021年7月23日 13時) (レス) id: 99dee8af5b (このIDを非表示/違反報告)
青猫(プロフ) - 更新ありがとうございます！ (2021年7月23日 11時) (レス) id: fe631de70d (このIDを非表示/違反報告)
はたらま(プロフ) - 青猫さん» 更新する度に青猫様からコメント頂けて更新の励みになっております。有難う御座います。あまりに遅い更新では御座いますが、今後もご愛読頂けると幸いです。 (2020年11月2日 23時) (レス) id: 99dee8af5b (このIDを非表示/違反報告)
青猫(プロフ) - 通知きたとき叫びました！w忙しい中更新ありがとうございます！(*´∀`) (2020年11月1日 17時) (レス) id: fe631de70d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はたらま | 作成日時：2016年8月12日 11時
