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黒夜の何気なく呟いた一言に、アンリは一瞬体を強張らせる。
しかしまた普段通りの冗談まじりの口調で、アンリは微笑んで言い返した。
「……出来るわけないじゃんそんなの」
何言ってるの、とアンリは続ける。
それに対して黒夜も当たり前のように、笑いながら返事を返した。
「ハハッ、まあ、無いよなー」
***
やがて数分時間が経ち、カタン、とシャーペンを置く音が響く。
「終ー……わったー!」
「お疲れ、黒夜」
ため息交じりの声を出しながら、黒夜は大きく伸びをする。
それを見てアンリは、たった今書き終えたばかりの学級日誌を手に取った。
「じゃあ、これ先生に出しに行ってくるね」
いいのか? と聞いてくる黒夜にアンリは頷き、そのまま席を立つ。
「ありがとな」
黒夜が軽く言ったその言葉を後に、アンリは教室を出て行った。
***
「ただいまー……っと」
教室にアンリが戻ってきてそう言うと、予想していた返事は返って来なかった。
「……あれ?」
見ると、先程まで二人が談笑していた席には、なにやら突っ伏しているような姿が。
スウスウと規則正しい寝息を聞く限り、どうやら眠ってしまっているらしい。
「寝ちゃったか……最近、頑張ってたもんね」
アンリは音を立てないようにそっと黒夜の前の席に腰掛けると、独り言のように呟いた。
「本当に……頑張り屋で、優しくて、断れない性格だよね」
うつ伏せになった黒夜の柔らかい髪を優しく指に通しながら、アンリは続ける。
「疲れた時は、頼ってくれてもいいのに」
部活に、授業に、友だちからの頼まれごと。
真面目で、優しくて、人望も厚い。
頭はいいはずなのに、自分のことになると鈍感になる。
ずっと隣で見てきた、自分の一番大切な人
「そう言うところが、俺は……」
『好きだなぁ、って、思うんだよ』
その言葉は、口には出なかった。
言ってしまえば、この関係も壊れてしまうから。
その先に行けば、もう後戻りはできなくなるから。
だから、
──だから、せめて
────アンリの隣だけは、誰にも譲らない
目の前で心地好さそうに眠る幼馴染みの顔を見つめながら、アンリはそっと、誓うのだった。
《バレンタイン特別編》からかい先輩×ツンデレ後輩→←放課後にて クール系×幼馴染み
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鈴_リンリン - 名前を変えられるなんてっ・・・!貴方は神ですか・・・!?では早速自分のクラスの推しの組み合わせで・・・((ゲフンゲフン すみません「BLばんざい」と(顔に)出てしまいました。 (2019年2月13日 20時) (レス) id: 4144f18b25 (このIDを非表示/違反報告)
大手裏剣(プロフ) - Dream,Dimention.さん» ランキング入りおめでとうございます!!これからも応援しています、更新無理せず頑張って下さい。 (2019年1月8日 21時) (レス) id: 930f4adcc1 (このIDを非表示/違反報告)
Dream,Dimention.(プロフ) - 咲音凛#絵描き同盟#タルパ同盟#町子とペア画中さん» コメントありがとうございます。お褒め頂き光栄です。これからも精進していきますので、宜しくお願い致します^_^ (2019年1月8日 21時) (レス) id: 352723e9c0 (このIDを非表示/違反報告)
Dream,Dimention.(プロフ) - 大手裏剣さん» わざわざコメントありがとうございます。こちらこそ、素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました^_^ (2019年1月8日 21時) (レス) id: 352723e9c0 (このIDを非表示/違反報告)
咲音凛#絵描き同盟#タルパ同盟#町子とペア画中(プロフ) - 文章がわかりやすくて、好みです!更新頑張ってください! (2019年1月8日 20時) (レス) id: 38b9dbf946 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Dream,Dimention. | 作者ホームページ:Dimention.
作成日時:2018年12月14日 1時