46. 救世主 ページ7
「えぇ？結局どっちなの……？？」
小南桐絵はいまだに真実にたどり着かない。
それを見た迅は、諦めたようにコーヒーをすすりだした。
おい、ふざけるな。ここであなたが諦めたら私の社会的地位が危うくなるではないか。
100％自分で招いたピンチに、自分でこれを説明しなければいけないのかと焦燥に駆られらじめた頃。
救世が現れる。
「なんだ、騒がしいな。」
現れたのは、玉狛の
面識はないが、この前の二宮さんの反応と比べれば彼が常識人であることは明白である。
「また、小南が騙されてるんですよ。」
そして、迅悠一から見てもそれは同じなのか安心したようにそう説明した。
思えば、さっきの行動は諦めたのではなく、木崎さんの登場を予知した故のものだったようだ。
「――……っ！！騙したわねぇ〜！！」
いいように遊ばれた小南は迅悠一に飛び掛かった。
"そんなことしてない"と嘘をついたのは迅さんなので、騙したのも彼で合っているだろう。
もう一度言うが、私 は 嘘 を つ い て い な い 。
一層騒がしくなった小南とその彼女にぐりぐりと頭を圧迫されている迅さんをおいて、先ほどの救世主の元へ向かう。
「はじめまして、折紙Aと言います。」
「ああ、よろしくな。」
その場でぺこりと頭を下げると彼も同じように会釈した。
その時の彼の腰の角度はジャスト30度、私の観察眼を持ってしても1度の誤りもない角度にこの人は何らかの特殊な訓練を受けた人なのだと結論付ける。
ここまでドンピシャな角度のお辞儀を見たのは、外部営業担当の唐沢さん以来だ。
あの人も絶対にカタギではない。
大した根拠はないが、統計的判断である。
やはり小南の誘いは断って正解だったようだ。
玉狛支部の隊員は普通じゃない人ばかり、私ような凡人が入れば浮いてしまうのは必至だ。
「――だいたい何でアンタそんなにAに目付けられてんのよ！」
「それは、……Aが俺の生き別れの妹だからだ。」
「えぇ！？そうなの？？」
少し離れた場所から聞こえてくる会話に、「ちょっと楽しそうだけど(主に小南が)」と呟いて帰り支度をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
origamisakura(プロフ) - ばぐさん» 連日ワートリの関連ランキングに載っていらっしゃる作者様に見て貰えているとは恐縮です！綺麗な文章だなんてとんでもない。お褒めいただいて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年12月9日 0時) (
レス) id: 6da1c3afc2 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵な展開に感動しました。更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年12月8日 19時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：*佐倉照* | 作成日時：2020年12月3日 7時
