82. 魔王の祝福 ページ45
あの後、トリマルは何故か怒り気味に部屋を出ていった。
泣き止むのを期待してジョークを言ったつもりが、お気に召さなかったのだろうか。
泣き止んではくれたので一応私の目的は達成しているのだが、腑に落ちない。
私が荷物をまとめてから少し遅れて部屋を出たところ、とある魔王が堂々待ち構えていた。
「いい試合だったな。」
優しい微笑みを浮かべる東春秋、誰もが認める人格者に
「最後、指揮権を手放したのは作戦だったのか？」
太刀川さんに自由を許し、出水に巻き込みフルアタックをさせた件だろう。
「ただの意趣返しですよ。」
今回の東さんは異様に私の策を乗っ取ることに拘って指示を出していた。
後出しじゃんけんで後に出した方が有利なのは言うまでもない。
だから、私も同じように指揮権を移して混乱させるという東隊の行動を使わせてもらったのだ。
「なるほど、それなら烏丸を先に落とした俺の判断は正しかった訳だ。」
「そういう事になりますね。」
作戦立案者の頭脳レベルまで計算に入れて戦う東さんから見ると、正隊員としての記録がほぼ無い彼に自作の作戦で行動されるのは不気味で仕方がなかっただろう。
「彼、いい素材でしょう？ 私が見つけたんですよ。」
自分推薦で加入した後輩がこれだけの強敵に認められているのが嬉しくて自慢気な私に、東さんは「今後が楽しみだな」と返した。
「今回の試合で、
「問題点……コンビネーションのことか？」
「流石によく見てますね。」
東さんの言う通り太刀川隊は、攻撃手上位陣が二人もいる影響で得意分野が個人技に寄りすぎている。
コンビネーションがしっかりとしていれば、私が出水の攻撃にダメージを受けながら攻撃することもなかったし、烏丸くんのガード範囲から太刀川さんが外れて左腕を駄目にすることもなかった。
「でも、その問題はすぐに解決しますから。
「それなら俺たちは、"
嫌味と挑発を同時にこなした東さんは、「あぁそれと」と続きを語る。
「次は初めから俺が指揮を執るよ。」
ほほ笑む程度で居た魔王の口角が意地悪に釣り上がった。
「お前と、本気の読み合いがしてみたくなった。」
……私は、何か余計なことをしてしまったのかもしれない。
「お手柔らかに、お願いします……。」
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origamisakura(プロフ) - ばぐさん» 連日ワートリの関連ランキングに載っていらっしゃる作者様に見て貰えているとは恐縮です！綺麗な文章だなんてとんでもない。お褒めいただいて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年12月9日 0時) (
レス) id: 6da1c3afc2 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - コメント失礼します。とても綺麗な文章と素敵な展開に感動しました。更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年12月8日 19時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：*佐倉照* | 作成日時：2020年12月3日 7時
