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家を出て、路地に出る。
追ってこないのが幸いで、ゆっくり歩くことができる。
「あ」
ふと思い出したことを、先生に伝える。
「そういえば先生って、車持ってないんですか?」
「免許はもっているんだが車は持ってないよ」
「ふーん」
「どこか町に出たら買おうか」
「いいですよ買わなくても」
「なぜ?」
「こうして足が痛くなるまで歩き続けるほうが、私てきにはいいんです」
「そうか」
私はずっと思っていたことを話した。
「先生、どこの町に行きましょう?」
先生は少し間をおいて。
「う〜ん、どこがいいかな」
と、考える。
「私、北海道に住みたいです!」
「北海道か…どうして北海道?」
「なんとなーく、ですよ」
「よし、じゃあ北海道に住もう」
「おー!」
それでいいのか、なんて話はどうでもいい。
今は___
普通ではない道を、歩きたい、そう思っていた。
「今日はもう遅いから、わたしの家に行こう」
「はい」
歩いてもう何十分経つんだろう。
昼間からもう夕日が見えてきた。
「あ」
「どうした?」
肝心なことを忘れていた。
「先生、私、家から服を持ってくるの忘れました」
「そんなの、いくらでも買ってやるさ」
「先生やさしーい」
そんな会話をしながら、先生の家までの帰路を歩く。
車がないので、高校近くのマンションに住んでいるらしい。
と、いくつかの視線を感じた。
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作者名:aoi | 作成日時:2020年5月29日 21時